第11話

「う~ん、デリシャス!」


 食べ方を見ると、その人の育ちが分かるって本に書いてあった。正しければ、このお姉さんは中々荒んでるっぽい。

 ずかずか洞窟に入ってきて、残っていた分厚い猪の肉を手づかみで丸かじりにしてる。生でないのがせめてもの救いだ。欲を言えば味付けしてほしいんだけど……ほら、調味料ってなんだか知的じゃない? いや食器も中々文明の匂いがするかも……。

 僕らは、目的のわからないお姉さんに対し警戒態勢を取っていた。防御に秀でたトモナミが前衛、エスパとミドが後衛で援護だ。ちなみに僕はミドに抱っこされてる。


「お、俺達も守ってくれよ!」


「ミドちゃん!」


「うるさいわねモンスターなんだから簡単に死にゃしないわよ。お兄ちゃんに何かあったらどうするの」


「そうよ男なら最前線に立つもんじゃない」


「軟弱ですね」


「ぐぞおおお!」


「ぢぐじょおおお!」


 不憫だ……。

 ジャイアとオネスだけ隅っこにやられてるし……。


「こら人間! 何の用だあ!」


「僕を怒らせると怖いぞお!」


「うっさい」


 腰に巻かれたお姉さんの鞭が、二人に走った。悶絶する二人を他所に僕は重要な事実を確認する。見えたぞ、睨んだとおりすごく細い腰だ! おっぱいはそこまで大きくないけど、対比でここまで見えるのか……。女体は素晴らしい!


「きいいいいい!」


「いたいよおお!」


「壁にも囮にもなんないんだから!」


「一生そこで転がってな」


「役立たずさん」


「あらら? 随分仲悪いみたいだね?」


「彼女たちが異常なんです」


 人間にしろモンスターにしろ醜い。

 なんて僕は文学的に思ったりした。

 

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