第27話




二度の失敗で地獄のような苦しみを味わい、あんな想いをするのはもう絶対にいやだと思った筈なのに、今回のことで生きていくことにすっかり疲れ果てた俺は、その後、三度目の自殺を図った。

今度は灯油をかぶって、火をつけた。

身体が焼けてなくなれば、さすがにそれを元に戻すことは無理なのではないかと考えたのだ。

だが、そうではなかった。

火で焼いた所で、身体がすべて灰になるわけはない。

火傷はほんの少しでも痛いものだが、俺は失敗しないようにと大量の油をかぶったために、それは想像を絶する酷い状態だった。

思い出すのも恐ろしい…

あの痛みを思い出すと今でも呼吸が苦しくなり、冷や汗が吹き出て来る。




山の中で俺はずっと泣き叫んでいた。

どうか、殺してくれと神に懇願した。

崖から飛び降りた時の痛みがこの世で最悪の痛みだと思っていたが、全身のやけどの痛みはそんなものではなかった。

痛む手や足を切り落としてしまいたい衝動にかられたが、身体が動かずそれも出来ず……

俺はきっと気が狂うと思った。

むしろ狂ってしまえば良いと思っていた。

そうなれば、痛みから解放されると……




そんな地獄の苦しみから完治するのに、二週間か三週間はかかったと思う。

あまりにも酷い激痛で、日にちの間隔すら定かではないが…

それ以来、俺は今度こそ自分で死ぬことを諦めた。





俺はやはり死ねないんだ……そのことはもう実感として理解している。




俺にはその事実をもうどうすることも出来ないのか…?




いやだ、そんなこともう耐えられない!

死ねないことはわかっているのに、それでもその事実を受け入れることは難しかった。どうしても受け入れられない!

そうだ…俺は、何としても死ぬんだ。

そのために、俺は絶対に過去を変えてやる!




それしか、俺がこの地獄のような日々から抜け出す方法はないんだから……



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