第21話

そんな希望のない生活を送っていた頃、俺はある女と出会った。

俺よりもほんの少し若いミシェルという女だった。

器量はそれ程良くはなかったが、大らかで心根の優しい女だった。

彼女が俺に好意を持っていることはわかったが、俺はもう誰とも関わるつもりはなかった。

反応を示さない俺に業を煮やしたのか、ミシェルは率直に俺に気持ちをぶつけてきた。

俺は、ミシェルの真っ直ぐな想いを感じたが、それでも無下に断った。

俺が誰かと心を通わせることは、どちらにとっても不幸なことだから。

しかし、それでもミシェルは諦めなかった。

想いを受け止めてもらえなくても構わない。

ただ、時々会ってもらえるだけで幸せだと健気なことを言った。

会う度に、俺はミシェルの優しさにほだされ、ついに俺はそんなミシェルの気持ちを受け入れた。

一緒に暮らすことになった時、俺は十年以上は一緒に暮らせないことと、子供が出来たら別れるということをあらかじめ宣言し、彼女はそれを了承した。


ミシェルとの暮らしは順調で幸せなものだった。

しかし、二年後に子供が出来た。

元気な男の子だった。

子供が出来たら別れると言ってはいたが、出来たら出来たでそれはとても愛しく、俺は十年だけこのまま暮らそうと考えていた。

だが、数日後、仕事から帰ると、子供がいなくなっていた。

ミシェルは、俺と別れたくないから息子を養子に出したのだと涙ながらに話した。

それを聞いた時、俺はどうしようもない切なさに包まれた。

ミシェルの一途な愛情に胸が詰まる想いだった。

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