第26話

だが、あの日からもう一年近い日が流れた。

確か、俺はあの町であの森の話を聞き、五回程、新月の夜を体験したはずだ。

仮にそれが記憶違いだとして、もう何度か多かったにしても、これほど時間がかかるわけはない。

明らかにもうあれをみつけている頃なのに、俺はまだここにいる。




それはすなわち…

あの忠告を無視して、俺が不老不死の果実を食べたということ。

食べていなければ、今、ここに俺がいるはずはない。

俺は普通の人間として、寿命を全うし死んでいるはずなのだ。




(なぜ、あの伝言の通りにしなかったんだ!!)



俺は、どうしようもない苛立ちと絶望感に打ちのめされた。


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