第17話
俺は溢れた涙を指で拭い、静かに目を閉じ、遠い遠い遥か彼方の時に想いを馳せた。
(……あの時の俺には欠片程の迷いもなかった…)
森でみつけた果実を持ち帰った俺は、迷うことなくそれを口の中に放りこんだ。
しゃりしゃりとした梨に似た食感だったが、果汁が少なくそして何の味もない。
香りもなにもなかった。
食べてすぐに俺は異変に襲われた。
喉の奥が焼けるように熱くなり、杭でも打ち込まれるように痛む胸をかきむしって俺は床をのたうち回った。
畜生!あれは毒だったんだ…!
あの伝言は真実だった……
く、くそぉ…俺はなぜそれを信じなかったんだ!
……俺はこのまま死ぬんだな…
苦しみもがきながら、そう思ったのが最後だった。
なのに、目が覚めた時には何事もなく、俺はあの苦しみは夢だったのかと思った程だった。
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