第34話




「いたぞっ!」



その時、タイムパトロールの隊員の放った分子破壊銃の特殊ビームが、父親の亡骸の前で放心するアランの身体を貫いた。

アランの身体は、蚊に刺された程の痛みさえ感じることもないまま、瞬きひとつしない間にその場から掻き消えた。

そこにアランという人間がいた痕跡を、何一つ残さずに……




アランには「そうか…この時代にはこういうものがあったのか…」と苦笑する暇も

「これでようやく楽になれる」と安堵する暇もなく……




ごく唐突にその存在を消した。




そのおかげでようやく彼はずっと乞い願った安らかな死を……

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