第9話

そんな恩もあり、俺は少しも手を抜かず、朝から晩まで老人の看病や教会の下働きとして一心に働いた。

そのうちに、老人も俺に心を開いていろいろと話してくれるようになった。

日一日と老人の声は小さくなり、弱っていく様が感じられたが、それとは裏腹に老人の心は満たされたようで、度々穏やかな笑みを見せるようになった。




「アラン…わしはおまえのおかげで、人生の最後にとても幸せな想いをさせてもらった。

本当にありがとうよ。」


「じいちゃん、何、馬鹿なこと言ってるんだよ!

神父さんにも先生にもこんなに良くしてもらってるんだし、元気にならなきゃ駄目だろ。」


老人はそれには何も答えず、ただ力なく微笑むだけだった。




「アラン、わしの一番大切なものをもらっておくれ。」


「一番大切なもの?

駄目だよ!

そういうものは家族に渡さなきゃ!」


「わしには家族はおらん。

友達さえも、な…

わしにとって信頼出来る者はおまえだけじゃ。

どうか、これを受け取ってほしい…」



老人が差し出したのは、古びた羊皮紙に書かれた地図だった。

片隅には細かな書きこみがしてある。

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