三奈木真沙緒

波乱万丈ぶりも驚愕だが、スピード感あふれる文章、随所に盛り込まれたユーモア、そして読者のかすかな疑念が徐々にふくらんでいく構成が、スリルとある種のサスペンスのよう。読了して、なにか…続きを読む

誰にとってもショッキングだったに違いない、正月の震災。家が倒壊した、津波が押し寄せてきた……という事態ならすぐに避難しようとなるが、そうでなかった場合、避難するかどうかは難しい判断…続きを読む

この大学には探偵がいる――となれば、大学を舞台にした事件が起こり、謎をさっそうと解く探偵をイメージしそうだが、本作はそこに霊という超常要素がからんでくる。霊には多少の免疫がある３人…続きを読む

戦隊ヒーローになるという小説はここカクヨムサイトでいくつか見かけたことはあるが、本作は異色。なんと５人全員が「俺」なのだ。…いや、なんでそうなるのか、読んでみればわかる。５人中４人…続きを読む

歴史書の体裁をとった、ある女性の壮絶な半生記。しかし歴史書ということは、過去の出来事としてこれらを後世から淡々と眺める視点があるということで、精神を消耗する政治の場の駆け引きも、戦…続きを読む

さあ読むぞと構えずに、気持ちから力を抜いた状態で読むと、すごく笑えます。楽器店でのやりたい放題問答と、いろいろな楽器の音の表記が、個人的にツボです。重たい決意じゃなく、気軽に「新し…続きを読む

平安時代初期。おそれと親しみをこめて「野狂」と呼ばれた男、小野篁の活躍を描く、かの「TAKAMURA」の続編。武人にして教養人である篁は、あやかしを見ることができ、冥府で閻魔大王の…続きを読む

平安初期を舞台にした、心霊アクションTAKAMURAシリーズの外伝。風もないのに揺れる鞦韆（ブランコ）の怪に、文章生・篁と、あの空海のタッグが立ち向かう。 現世と幻想が入り交じり、…続きを読む

多くの人々から愛され、幸せに育ってきた皇女ララは、世界はバラ色の愛に満ちていると思っていた。しかし、皇帝である父が倒れたことがきっかけとなり、バラ色の夢の向こうに隠れていた、世界の…続きを読む

かの名作「ギリシャ物語」の続編。前作の衝撃のラスト直後から始まる物語は、アテナイの青年ティリオンとスパルタのアフロディア姫の逃避行で幕を開ける。ますます複雑にからみ合う、各ポリスの…続きを読む

当レビュー筆者が、自分自身に起こったら間違いなく「ええー…」と引きまくるトラブルの数々ですが、この作者様のユーモアあふれる流麗さで表現されると、笑いごとじゃないのに「ぷふッ」と笑っ…続きを読む

かつては文章を書くのが不得手だったという作者様が、ご自身の思い出を振り返りながら、書く楽しさに目覚めていくエピソードが綴られています。「あのときはああいう文章を書いていた」という回…続きを読む

民族の存亡を担い、先頭に立って死闘を繰り広げた女王ブリジット。彼女と、情夫の立場以上の絆を作り上げて、陰に日に彼女を支えたボルド。戦いの狭間で、あるいは戦いの後で、ふたりに訪れる侵…続きを読む

当レビュー筆者が、戦隊という言葉にひかれて拝読した本作。いや、おもしろいわー。異世界にやって来て何をしなくちゃいけないかって、それをしないと元の世界に帰れないんだから仕方ない。…と…続きを読む

平安の京とはいいながら、治安も万全とまではいえず、その闇夜には夜盗も怪異も跋扈していたという、平安時代初期。本作は、冥府にて閻魔大王の片腕を務めていたと噂された男・小野篁の活劇を描…続きを読む

演劇同好会の仲間が、不可解な言葉を残して消えた。その直後から、主人公の日常に奇妙な違和感が忍び込む。日常を過ごしているはずなのに劇を演じているような。いや、演劇の中で日常の場面を演…続きを読む

主人公はひたすら、玉川上水緑道を歩く。歩き続けるうちに思い返すのは、少年時代の思い出、職場でのストレス、コロナ禍の圧迫感…いつしか小金井公園を通過して小平近辺へ。歩きながら通り過ぎ…続きを読む