千切れゆく世界。それでも、諦めない。
- ★★★ Excellent!!!
果たしてこの世界は、本当に存在するのだろうか。自分に知覚できる範囲しかない世界なのでは? そして誰もそのことに気づいていないのでは? …そんな空想をしたことはないだろうか。
女子高生の主人公は、ふとしたことから、「知覚できる範囲の世界の外側」をのぞいてしまい、この世界が千切れた切れ端にすぎないと知らされる。しかも、世界はすでに百回以上もの「やり直し」を経ているのだった…。
閉塞した世界の外にはもう何もない。世界に変化が訪れるとしたら、「消滅」またはさらに千切れるという形での「避難」。…なのにどうして彼女には、失われてしまったはずの過去につながる断片が存在するのか。それはエラーに該当する、誰も予測できなかった事態への、希望ではないのか。千切れ、削れていく世界で、戦い続ける孤独な戦士にはきっと、希望の光に見えるに違いない。その諦めない姿は、読む人の心のどこかをそっと揺り動かす。