偽環ウロボロス

青村司

序章 - 朱の夢 -

 それは夢だと分かった。


 黒い空。白い大地。

 大地には一面、小さな花が咲いていた。淡い光を帯びた、不思議な白い花。

 その花が、地面をどこまでも覆っていた。

 こんな世界、現実にあるはずがない。

 その花の大地の上に、誰かが立っていた。

 背中しか見えない。喪服のような黒い背広の、着崩した姿。

 その手に持つ、光る何か。金属が打ち合うような、清涼な音。


 貴方は──────。

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