四天王の強さとは…腕っぷし、豪胆さ、そしてちょっぴりの弱点。

藤原道長に仕える武士・源頼光には、四天王と称される凄腕の配下がいる。本作はそのうちのひとり、渡辺綱を主人公とした、鬼との戦いを歯切れよく描いた短編。この渡辺綱、さぞかし武勇にすぐれた剛の者、かと思いきや、意外な弱点が? いや、それがあるからこその、真の強さなのかもしれない…そんな人間味たっぷりの描写、対照的に人ならざるものの妖美でおぞましい表現、そしていきいきとしたアクション、拝読してあっという間に引き込まれる。1万字に満たないとはとても思えない濃厚さだ。
渡辺綱以外の三人も頼光も、脇役にはもったいないほどの魅力を放っていて、豪勇だけではない顔を見せてくれる。というか、坂田公時って、それが弱点なの? あら意外だこと。彼ら全員が躍動する活劇も見てみたい…というか、そっちが本編で、本作はその外伝という位置付け、…なんですよね、作者様?

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