若生竜夜

授業中、隣の席の相原くんがペン回しをしていた。 その技に夢中になったわたしは、相原くんにもう一度見たいと頼む。 手品師になりたいと話す相原くんは、もっとすごい技をこっそり見せてく…

これは恋愛作家の先生と私の、密かな恋のはじまりの物語。 第二回　銀縁眼鏡文学大賞、参加作品。 文体診断/1・森鴎外　2・芥川龍之介　3・井上ひさし 2022/06/09　大…

彼女には春の青空が似合う。僕はそんな彼女と穏やかに過ごした。特別なことは何もない日々だったけど、僕にとっては掛け替えのない思い出だ。 ――ああ、もうすぐ約束の春がくる。 僕は本を…

山田花子は、自称・帰国子女の転校生。 山の中腹にある自宅から２時間かけて麓の中学校へ通っている。 山から降りて「住宅街」に降りるといつもカラスに攻撃される花子。今日も「本当の姿を…

　いつか、この誰にもいえない恋を語ることができるようになったなら、そのときあたしたちはひとつ大人になれるような気がする。

美咲は中学三年生。 もう直ぐ中間テストなのに、合唱部で同じクラスのあざとい女子、萌絵が街の「紫陽花まつり」に出ようと誘ってきた。しかもピアノ伴奏は美咲に頼むと言い出した。 「ま…

《縦読み推奨》 【カクヨムコン8短編賞応募作品】 中学二年生の春。 私は席が隣の彼と、秘密の会話をするようになる。 それは、小説の文章をなぞること。 限られた言葉の中で私は初…

高校生の霧嶋夏央（きりしま　なつお）は、学校が終わると喫茶店『ポメラ』でミルクコーヒーを飲んで過ごすのが日課。 ブラックコーヒーが苦手な夏央がポメラに行くのには理由があって……

　中学三年の合唱コンクールを、今でも思い出す。 　私はアルトのパートリーダーで、島井は楽しそうに歌っていた。

とある民家の床下から若い女性の腐乱死体が見つかった。その後、父親である犯人が自ら命を絶ち、事件は終息したかのように見えたが、記者のわたしにはどうしても気になる点があった。

「クラスに1人はこういう男子いたよね」って言いたくなる作品です。笑いをとろう、クラスを盛り上げようと日々頑張っているけど、これらはすべてある特定の子に向けてやっていることだったり…

異性にも恋にも関心が持てずにいた田ノ下徹は、恋人代行サービスに依頼をした。恋とはどんなものかを知りたくて。そして、その待ち合わせに場所に現れたのは高校時代のクラスメイトだった。 …

「ところで、少年」 「なんだ」 「さっきから君がサクサクと食べてるそのクッキー、中ににんじんが山ほど練り込んであります」 「!? だっ、だましたな！」 とあるお屋敷の料理番リッカ…

　流伽は誰にも渡さない。絶対に俺が幸せにするんだ。 　ずっと、そう思っていた―― 　彼女が十六歳を迎えた、あの日の夜までは。 　一途すぎる、彼のお話。 　※他サイトにも掲載…

午後5時55分から6時までの放課後の教室。 彼の時間を独占できるのは、たった5分のあいだだけ。

中二の二学期にきららのクラスに転校してきた高見くんは、おとなしくて愛想もなくて、きららの友人達いわく、他クラスに入ってきたイケメン転校生と比べて《期待はずれ》。 だけど、きららだ…

私が好きな彼には、好きな人がいる。だけど彼の想いも、私の想いも、決して届くことはないんだ。

大学生男女が新宿のバー『Something』でマティーニを注文する。 男の下心に気付いた若いバーテンダーは……？ 『カクテルあらかると』番外編になります。（6/20チラッと改…

「ミルクパズルって知ってる？　絵柄のない、真っ白なパズル」 そう言って泣きそうに笑う彼女に、秘密の恋をしていた。 月と地球。離れ離れになっても恋を諦められない二人の話。

絵描きの青年は、ホムンクルスで売り物の少女を買うことになる。 少し曲がった青年と、寿命が一週間のホムンクルスの、小さな一部屋の話。

武蔵野の丘に、百尺を超える巨巌が在る。 巌には、一柱の土着の神が宿っていた。 或る晩秋の夜、一人の童女が巌に宿る神を訪れる……。 武蔵野の今むかし、そしてこれからの物語。 ◆…

おれは、ひとり曠野に立ち、月を見ている。 どれぐらい時間が経ったのだろうか。親しかった者の顔が、浮かんでは消える。 夜の間だけ、おれは気ままに動ける。 そんな今の姿を、おれはけっ…

一人でも多くの方に読んでいただいて、今の時代の悩みや、どうにもならない所が発生源のストレスに寄り添って、もしかしたら誰かのためになれるんじゃないか、という、カッコつけ動機で毎日書…

三年新作の出ていない推理作家の須藤鏡花は大学時代の同期で現在探偵をしているという桐生北斗の元を訪ねる。推理小説の取材として探偵の仕事を手伝わせてもらうためだ。強引な鏡花の頼みをし…

【あらすじ】中央線の西荻窪。できれば停まらず通り過ぎて欲しかった。彼のことを思い出すから。話すことが苦手な不器用なバンドマン。一緒にラーメンを食べた日はずっと忘れない。 第2回…

かつての想い人からの依頼。戦地に赴く彼に代わって、相棒のドッグタグを故郷の教会へ運ぶ役目。その帰り道、私は花咲く道で、うずくまる人にろうそくを手渡す。赤い花が脈打っていた、燃えて…

詫びキツネでございます。 真面目に書きました。 なお、育児の描写は育児された記憶しかない人間が書いておりますので、｢育てるのもっと大変だよ!!｣と怒りを感じられたらごめんなさい。

赤いきつね、おいしいですよね。 ほんわかしたお話に仕立ててみました。

第2回角川武蔵野文学賞によせて書きました。

「魅惑なジャック オー ランタンが登場する小説の集い！」によせて書きました。

「同題異話・九月号　　砂漠渡りと長月」によせて書きました。

角川武蔵野ミュージアムでめちゃくちゃ可愛い女子に呼び出された、あるYouTuberの男子高校生の苦悩のお話。

昔書いた短編です。 置き場がないので置いておきます

ザーバトは家族に幼い妹セーヴェルを人買いへ売られ、故郷から出ることを決めた。

息苦しいようなニュースばかりなので、いつも笑顔をくれる愛猫の「可愛い♡」を思いつくまま書いてみました。それだけです。 息抜き・脱力したいときにどうぞ。 注・作者の親バカがダダ洩…

横浜で起きた宝石強盗事件の関連捜査で単身来阪したエリートの女刑事。世間知らずで高慢な態度を押し通し、別の連続殺人事件に携わる刑事たちとことごとく衝突する。やがて両事件に関連性があ…

「後藤さん、これなんな？」 「須恵器と云って、古墳のお祀りで使った土器。さっき出た普段使いの土師器とは違って、色も違うし硬く焼きしまってるでしょ」 「あぁ、ほんとばい。きんきんし…

梅雨の時節。蛇の目の傘を差して、彼女はいつものように墓参りに行く。それを見守る男が一人。

町に帰郷した青年がかつての同級生と再会し、過去に交わした会話を回想する話。以前に冒頭だけを書いて放置していたものを、なんとなく思い立って、心に浮かぶままに加筆修正した習作です。

　夕暮れをすぎて、もう昏くなりはじめていた。僕と北森は自転車を押しながら、迫る夜に追い立てられるようにのろのろ歩いていた。やがて夜に追いつかれるだろう。 本作は「はてなインター…

殺し屋として生計を立てるルクの前に、ある夜、男をひとり殺してほしいと、ユンと名乗る少年がやってくる。 標的の男は少年の大切なひと、マリーを殺した犯人だという。 ただユンには手持ち…

女子高校生の主人公が、学校の先生に恋をして、相手にされないまま卒業するまでのお話。 よれよれの白衣を着た生物教師の皮を被ったダメ人間を書きたかっただけです。

トイレでキスをした。女装さんと。 私は彼女を探すために、姉の死を乗り越えなければならなかった。 しかし乗り越えようとした先にあるそこは、ある世界に生きる人々の領分だった。

親友が死んだ大雪の日から、その足跡は、ハンスの後ろをずっとつけてくるのだった。 ミトラと呼ばれる不思議な生き物が跋扈する世界。 ハンスは拾い子であるレオと共に、貧しい生活を送っ…

古墳時代。 敏達の子である押坂彦人大兄皇子と、その舎人である迹見赤檮の短編です。 蘇我と物部の対立の中で、赤檮は物部守屋の右腕であった中臣勝海を暗殺します。それをきっかけに、赤…

架空の世界の遊牧騎馬民族の民話です。 年頃になった三人の息子たちに、お父さんはお嫁さんを探しに行くようにと言い渡します。息子たちは、馬と一緒に遠くの国までお嫁さんを探しに行きま…

秀子の兄の清作が、年の暮れに帰ってきた。孤独な日々を送っていた秀子は、数年振りの兄との再会に、いたく喜ぶ。 今夜だけは共にいられると兄は言い、二人は語らうが……。 ――――――…

「私」の住む島には、二つの季節があり、男たちはそれぞれ「火の季節」と「石の季節」と呼んでいた。「火の季節」に彼らは踊り、「石の季節」は我慢の季節だと言い忍び耐える。 しかし、あ…

娘は希望を咲かせたかった。 例えそれが猛毒の花だとしても。