ゆったりとした穏やかな文体で、見たこともない世界の(しかし多分実在する世界の)リアリティのある描写が続く。主人公も筆者も誰かの気持ちを勝手に代弁したりしない。だから何もわからないが、わからないままなのに不思議と心の澱みがほぐされるような、だからきっと繰り返し読みたくなるような、そんな手触りの小説でした。とても良かった。