ずっと小洒落た絵が目の前に浮かんでる。まるて映画みたいに。泥くさく描き込んであるくせに何故か小洒落た絵だ。きっと小気味良いテンポと眼を離したら勝手に走り出してしまうキャラ達のせいだな。会話は秀逸で絵を引き締めるのに、一役も二役もかってる。例えは悪いがまるで、蟻が砂糖菓子を寄って集ってめいめいに引っ張ってるくせにちゃんと巣穴に引っ張り込むみたいな・・個性豊かな蟻達だけど安心感もある。それは非日常の職務を熟す彼等も突き詰めると日常を過ごしているからだろう。このシリーズ、おもしろい!
宝石強盗あり、連続殺人あり、意外な結末ありの本作は、警察小説であり、青春小説であり、恋愛小説です。全部の要素を流れるような文章で堪能できる、とても贅沢な作品。殺伐とした事件のシーンや、犯人と対峙する緊迫感のあるシーンと同時に、深まったり踏み外したりする登場人物たちの恋愛模様を、さらりとしつつも緻密な心理描写で味わうことができます。少しずつ変化していく様子がとても丁寧に書かれていて随所で心臓に来ます。特にセリフがやばい。前作『ロング • ウェイ • ホーム』もぜひ一緒に読んでほしい。