瑞樹（小原瑞樹）

林で茸を採るうちに道を失った少女ユンフォアは、迷いさまよううちに見知らぬ屋敷に辿りついた。 屋敷を取り囲むのは無数の花々。茂みに潜む彼女の前で、男は花に口付ける。 彼女が彼と…

　僕の部屋のアジサイは、単純な紫一色ではなく、赤と青のグラデーションを形成している。その美しさを僕は誇らしく思っていたが、友人は気味が悪いという。その理由として、彼は二冊のミステ…

母親から育児放棄された小学生の颯太は亡き父との思い出の場所である和菓子屋の前で立ち止まる。 そこでは今日も名物の黒糖饅頭を蒸すいい匂いが漂い、その斜向かいにある「桜木稲荷」には社…

夜香蘭を咲かせたい私の奮闘記。 緑と花に溢れた職場で頑張っています。 　　　　　 クロノヒョウさん主催の第37回「2000文字以内でお題に挑戦！」企画に参加させていただきました。…

　処女作です。 　大学生の女の子が、小学校の時に出会ったウサギみたいなサクラの木の精霊について、回想するお話になります。 　学生時代に、大学のレポートとして『子ども』に関するこ…

巡る冬の、恋物語。

古谷圭一郎は、妻の日和を交通事故で失った。 圭一郎の腕の中には、生後5ヶ月の一人娘、朝陽が残されていた―― 「俺が小説家なんて目指さなければ……」 圭一郎は日和が死んだのは自…

今年に入り厄が続いてばかりの主人公は、持病が悪化し、ついには仕事を休職し、実家に引き篭もってしまう。 ある日、母からの提案で「厄払いに行きましょう」と誘われた主人公は、しぶしぶ神…

小説家になりたいが、未だに芽が出ない。 若くして才能を発揮する天才に憧れるが、自分の才能の限界にどこかで気がついている。 自分より若いのに活躍する人々を妬みながら、いつか何かのチ…

未だ言にあらず――それは、未だ言葉としてなかった物事に宛がわれた言葉の未《いま》だ。 それを『未言』という概念で産み出していったのが、未言屋店主です。 その未言屋店主の思い描い…

　――いつまでも待っているよ、君が来るまでは……。 ［この作品について］ 　この作品は、【Kindle】で電子書籍として販売しています。また、【Kindle Unlimit…

※なぜ、父は人類を裏切ったのか。その答えを求め、少年は旅立つ。 ※あらすじ 　無差別に人間を襲う怪物《すさまじきもの》。人々は長きにわたり、陰陽師の駆る《鬼》によってその脅威か…

　年に二回村にやってくる見世物小屋。村娘の月子は、そこで美しい姉弟と出会う。二人は「海からやってきた」男を父に持つと言うのだが―― 　昭和初期の激動の時代を舞台に、少女の不思議…

都内の私鉄沿線にある老舗書店「しあわせ書房」。この店で働く椎菜の元に、「花風鈴」というイベントが行われるとの話が舞い込んだ。椎菜がイベントのポスターを興味深く眺めていたその時、ど…

200x年、京都駅、0番ホーム。「僕」は偶然、同僚の泉水（いずみ）さんに会う。少しずつ距離が縮まっていったが、小さな行き違いで……。 ネットに公開したことでたくさんの人にご支持…

近日中に、編集された「完全版」を公開する予定です。

帆地槍静雄（ほちやりしずお）49歳。通称「ぽっちゃり」さん。 小さな会社で営業マンをしています。 会社に気になる女子社員がいます。 僕は彼女の幸せを願って仕事を頑張っています。 …

　テーマは「ノスタルジック・ホラーミステリー」。 　懐かしい田舎の情景とともに、ホラー要素も含んだジュブナイルなミステリーとなっております。 　夏も盛りの頃、湖畔の村で囁かれる都…

私は、あなたが幸せになれるならそれでいい。 あなたの幸せが、私の幸せだから。 だからどうか、幸せになってください。

目映い太陽が降り注ぎ、美しいブルーの遠浅の海に囲まれた小さな島。豊かな自然に恵まれ、島の住人は争うことなく平和に暮らしていた。ある日、島の子供が消える事件が発生し、住人は騒然とな…

　生まれつき、花や植物の“声”が聞こえる異能を持つ、京都に住む女子高生の楓。 　花が好きなので子供の頃は嬉しかったが、物心ついた頃、自分が皆と違う事に気づき、家族や友達にも秘密に…

おかげさまで、カクヨム甲子園2023最終選考まで残ることができました。 拙作を読んでくださった皆々様に、深く感謝申し上げます。 　　　　 想い人を喪った男は静かに狂っていて、…

いずこかの剣と魔法の異世界――とある小国の物語。 一国の王女と、彼女を守る女騎士の秘密が、白日の下にさらされた。 誰が密告したのかもわからぬまま、女騎士は罰として猫になる呪いをか…

男は毎週花屋に寄り、花を買っていく。とある男の、罪悪ともいえる花への愛をつづった物語。 ※自慰表現があります。苦手な方はご注意ください。

昔書いたものをサルベージ。人間の青年に恋した葉っぱの、短編悲恋ものです。

「火竜」と呼ばれる命知らずの傭兵と大陸を旅する「語り部」パルヴィーズが、夜毎に語る、妖しくも美しい「魔物」に魅入られた者達の恋物語。 「大陸」と呼ばれる世界に伝わる異類婚姻譚や…

中学二年生のちーちゃんが飼う白い柴犬ぽいミックス犬、雪丸。 雪丸の名は、聖徳太子の愛犬雪丸（奈良県の達磨寺に石像が祀られている）から貰い受けたもの。 聖徳太子の雪丸はお経を唱えて…

◇特別賞受賞＠第8回カクヨムWeb小説コンテスト・ライト文芸部門 ⏬書籍版⏬ 富士見L文庫より発売中!! https://lbunko.kadokawa.co.jp/produc…

【ZDV series #8】　ふとしたきっかけで料理を始めたルカ。テディにはずっと以前から自炊をがんばろうと云われていたこともあり、きっと喜んでくれると思っていた。なのに何故か…

　ほっこり系グルメ短編集はいかがですか？ 何気ない日常とあたたかい食事がもたらす、それぞれの癒しをお届けします。ぜひ夜中に読んで飯テロされちゃってください！ ※メニューのリクエス…

スランプに陥った美大生の私。 ある日、帰り道に通りかかった民家から、味噌汁の香りが漂ってきた。 すると、懐かしさとともに描きたい絵が思い浮かんでくる……。

イルミナス・アリーナコロシアムにて快進撃を続け、クラスマスターへの挑戦権に王手をかける雫。アリーナに姿を見せる度に歓声が沸き、コートヤードは雨衣咲雫一色に染まりつつあった。 しか…

高校三年の講習会で聴いた、ピアノの演奏と、ピアノの伴奏。そこに知らず居合わせたふたりは音大に入学後、同じ門下で勉強をしている。山岡みそらは声楽専攻、三谷夕季はピアノ専攻として。 …

特別な教育が必要になるから育てられないと、魔力を持つ子を手放す者の多い世界。国家魔導師として、生まれ育った辺境の地で結界を管理する魔女マリスの屋敷に、深夜に置き去りにされていたの…

聖セラフィーナ魔法学院に通うユーフェミアは落ちこぼれだった。勉強の成績は良いものの、いつも魔法を暴走させてしまい、一度も成功させたことがない。 卒業を一年後に控えても成長しない自…

父王殺しの疑いで、神明裁判にかけられることになった王女。神に助けを求めたとき、目の前に黒衣の青年が現れる。「僕に調査と弁護を依頼するのなら、この手を取れ」――神に裁かれる王女を、…

フローラとオリガは『グリーンヒル孤児院』で暮らす女の子。 ある日、卒業生のペギーが訪れたが彼女は親しいふたりのことを覚えてはいなかった。顔はそっくりなのに、まるで別人。やがてフロ…

「俺は穏やかな百年など望まない。百年分の一瞬があればいい。後の日々が死ぬくらいなら——」 凍える僕を振り返りもせず、探偵は雨を見つめている。もう戻らぬ人を想いながら。

海辺の町で育った「私」と不思議な灯台守の少女の、ひと夏の儚い友情のお話。 極ほんのりSF要素あり。 灯台は遠く海原を照らし続ける。誰かの帰りを待ちわびながら――……。 ＊縦組…

自由恋愛が認められた21世紀を生きる、日本の恋人達。そんな彼らを外因的に引き離したのは、遠距離でも、死別でも、家庭や経済的な理由でも無い。時代……“時世”だった。 苦学生の龍彦と…

入院患者たちはみんなクセが強かった !? 患者さんたちが垣間見せるそれぞれのビョーキ具合をお話しします！ 他人のビョーキ見て我がビョーキ治せ！ 身体も精神も健康一番！

【末尾にて東城のオリジンを描いた短編「悪の猛禽　ー優しき修羅の愛０ー」の連載を開始しております】 【※本来オススメの読み方は指定するべきではないと思っていますが、伏線と回収を短…

この日、母は父を殺す。そうして逮捕されて、絞首刑になってしまうのだ。それは＜夢＞で、けれどこれから確実に起こりうることをオヅマは知っていた。 この悲劇から紡ぎ出される連鎖を断ち切…

精神障害を患う母を世話するため、一人暮らしの家を引き払って実家に戻ってきた私。ある日、アルバイト先である鎌田カルチャーセンターで、障害者支援施設オウルの事務長・小駒彰から、オウル…

17歳の春、隣の廃校に男が住み着いた。美青年にそぐわぬ挙動不審な男は、体育館で「人を幸せにする家具」を作る家具工房を開くという。母の死によって心を閉ざした少女は、よく似た傷を持つ…

「いつまでも変わらないままじゃ居られないんだよ。生き続けてる限り、私たちはずっと変わっていくから」 　数年前に組んでいたバンドが解散し、音楽を辞め自堕落な日々を送っていた19才…

2010年代前半、今よりまだスマホが当たり前でなかった頃。 新興ゲーム開発会社・ジュエルソフトウェアに集う、3人の男達。 亡き友より新企画『異世界大戦（仮）』を託されたゲームプ…

初夏のある日、僕の人生に「春風さん」が現れた。 とある証券会社の新入社員だった僕は、成果が上がらずに打ちひしがれて、無様にも公園で泣いていた。春風さんはそんな僕を哀れんで、最初の…

一見、平和で理想的な家庭に起きた大波乱をシビアに、ユーモアも交えて描きます。タイトルは、「普通」という言葉を入れたくて。 何が普通なのか、創作再開のきっかえになった映画「窮鼠はチ…

これは、家族との付き合い方に悩む、一人の女の子の物語