「葬送」を含む小説

此の街は不可思議だ。 亡霊たちは街から出ることも叶わず、そして入ることもできない。 閉ざされた街。 それはまるで鳥籠の中にいるかのようで。 魂は自由に羽ばたくことも許されない鳥の…

渡り鳥ググゥは死に別れることなく妻を失い、『祈りの島』を後にします。 やがてたどり着いた『孤独の国』、 しかし羽を休めたのもつかの間、ググゥは飛ぶ力を失ってしまいました。 失意…

鉄と、魔法と、肉と骨。 海と皇帝。 電子頭脳とネクロマンシー。 ペルセウスとメデューサ。 鯨。

それは古いカセットテープで聞いた祖父の声。 森の奥で、友人を弔ったのだという。 誰にも見つからない森の奥で、鴉に食まれる様を見届けたのだという。 それを聞いて、僕は――。 本作…

登場人物 ティーカー・シー 葬儀屋。 コパル・シー ティーカーの息子。感情表現が豊かで泣き虫。 コフィ― 別の葬儀屋。 ティーカーと幼馴染。

さくらが死んでしまった。 だから私は、この桜堤の樹の下に埋めようと思う。 それが一番良いはずだから。 【第1回角川武蔵野文学賞】応募作品です。

嫁ぎ先に到着早々、葬送の鐘が鳴り響く。 婚約者の死を知らせるものだった。 嫁ぐはずだった麗凛は、侍女の伎玉と入れ替わり、替え玉皇女付きの侍女として過ごすことに。 王様や王弟…

歌に満ちた美しい「みどり」の森の中で一人の青年は目覚め、少女と出会う。青年は、自分が何者であるのか、この森がいったい何であるのか、なにもわからなかった。少女もまた同じだった。過去…

〝怪物街〟は外界と遮断された人でなしたちの『楽園』だ。 そこに住まう少年、白木玖朗は一度死んでいる。 自身の葬儀に参列するも、そこは誰一人涙を見せるものもいない、形だけ…

狐とおじさんが出会っておじさんが死ぬまでの短い時間のお話です。 人間が首を切って死ぬ描写があります。

「俺は必ず、元の世界に帰って、彼らを救うんだ」

「お前」の血を啜ったことで、人間ではなくなった「私」。怪物としての運命を忌み嫌いつつも、「私」には「お前」に付き従う以外に何のすべもなかった。憎しみと血に彩られた長い生の果てに、…

滅びゆく人類の悲願を叶えるため、地球から遠く離れた惑星に辿り着いたタグチとシロイ。 そこは、星空の見えない場所だった。 ※一部情報に誤りがありましたので、修正させていただきま…

　現在から十億年後。人類が滅亡した世界にのこされたのは火星と金星のロボットたちだけだった。斯様な火星において十億年前に製造され現存する最後の〈人類の存在した証拠〉だったぼくの祖父…

九月の終わり、そんな持論を言っていた水野は突然失踪した。そして導かれるように三月の下旬、水野の同級生・小谷透は水野の死体を見つける。 葬式から月日を遡り、物語は、記憶は現実から幻…

最初の文明の地にて。男は語り継がれる死を見た。

20XX年、あらゆる技術が今より進んだ近未来。 冴子は旦那の葬儀を行っていた。 冴子は息子の良太と二人、彼を最後の地へと送り届ける。 2020/01/14 ラストを少し分かり…

　アルトベルク共和国とセントシルヴィア帝国の対戦初期に多大な功績を上げた軍人ツェーザル＝ベルネットの娘であるリア＝ベルネットは、兼ねてより前線への移動を上官に対し具申しておりよう…

　いつもの事さ。 　そう言い聞かせて検査に向かった俺はぼんやりと、待合室でテレビを観ていた。 　流れるのはまだ昼にも遠い午前中らしい、中高年向けののんびりした番組。たまにはこうい…

夕刻の迫る草原の中に現れた廃墟の群れ。 そこで私が見つけたのは、一つの箱。 中に入っていたのは、百年以上前に誰かが書き遺した日記だった。 とある民族に受け継がれていた伝承の物語…