
「カクヨムコンテスト11【短編】」の企画、「お題フェス」。
期間中に運営から出されるお題をもとに400~1万字の作品を執筆&公開し、タグ「お題フェス11」をつけて「カクヨムコンテスト11【短編】」に応募することで参加できます。
翌々週のお題発表時には、トリが気になった作品をコメント付きでご紹介いたします!
また「小説に初チャレンジしてみたい!」という方のために、ちょっとした創作コラムもお届けします。
どう書き始めればいいかのヒントになるかも!?
この機会にぜひ、カクヨムコンへご参加ください!
今週(最終回)のお題
「温める」
「温める」という言葉は、じんわりと熱が伝わっていくような心地よさや、何かが動き出す前の静かな準備の時間を思わせます。
湯気の立つスープ、冷えた指先を温める誰かの指先、いつか形にする日を夢見て大切に抱き続けてきた計画やアイディア、あるいは一度冷え切ってしまった関係を再び灯す心の交流……。
「温める」という行為の先には、常に小さな変化や新しい始まりが待っています。
カクヨムコンテスト11が、もしくはそれを通じて出会った作品があなたの心を温めたことを願って、今回はそんな「温める」をテーマにした小説またはエッセイを募集します。
参加方法
①お題を確認
②お題をもとに、期間内に作品を執筆&公開
③タグ「お題フェス11」をつけて「カクヨムコンテスト11【短編】」に応募
④投稿された作品の中から、運営(トリ)が「これは!!」と気になった作品を選んで、翌々週のお題発表時にコメント付きでご紹介
※ひとつのお題につき、何作品応募しても問題ありません。
※「カクヨムコンテスト11【短編】」のどちらの部門でチャレンジいただいてもかまいません。ジャンルも不問です。
※字数等の作品形式は、「カクヨムコンテスト11【短編】」に準じます。
※参加賞品等はありません。
※第5回、第6回お題のトリのコメントは、別途記事を公開いたします。
お題「温める」の応募締切
2026年1月27日(火)18:00
お題「天気」より、トリが気になった作品
第4回のお題「天気」では、332作品のご応募をいただきました。ありがとうございました!!
天気に絡んだ怪異の登場、関係性を天気になぞらえた恋愛もの、ご自身の雨女・雨男エピソードなどいろいろなテーマの作品をご応募いただきました。
そんな332作品のなかで、トリが気になったのはこちらです。
静謐な筆致と幻想的な設定付けによってひとつの世界が立ち上がる。そのことの喜びを、たっぷり感じさせてくれる作品でした。
主人公の要はときおり他人の夢に巻き込まれ、その夢のなかに捕らわれる体質を持っています。
いつもは顔を知る相手の夢にだけ呼ばれる要ですが、今回は見知らぬ少女の真っ白な夢のなかにいました。
仮にフレデリカと名付けたその少女の夢は、ほかの夢と違ってひたすらに平穏で、なにもかもが不変。そのことに居心地のよさを覚え、フレデリカへの親しみを抱く要ですが……。
フレデリカは何者なのか。この夢はどうなってしまうのか。要はこの夢から出られるのか。
これらの謎を回収する物語の結末に、また「天気」というお題の使い方に、じんわりと優しい読後感を覚えました。
Tempp @ぷかぷかさん、そしてご応募いただいたみなさま、さまざまな「天気」をありがとうございました!!
トリの創作コラム ~初チャレンジのみなさまへ~
小説執筆に正解はありませんが、「こういう取り組み方がある」と知っていることがなにかの役に立つかもしれません!
なお書いてある内容はあくまで一つの考え方なので、参考程度にご理解ください。
ここまでのコラム
ここまでのコラムをまだ読んでいない人は、ぜひあわせてご覧ください。
【おさらい】
前回は、作品を貫くテーマをめぐって、ディベートのように2つの意見がぶつかりあう物語の展開についてご紹介しました。
たとえば、「自分は魔王を倒す『勇者』としてのみ価値があるのではないか?」と悩む勇者がいるとします。
彼は旅を通じて、次の2つの考え方のあいだを揺れ動きます。
①自分には「勇者」以前に人として価値があるという考え方
②自分には「勇者」としてしか価値はないという考え方
この構造では、主人公が「自分には『勇者』以前に人として価値がある」と信じ、欠けていた自己肯定感を取り戻すことができるかどうかが、勇者として覚醒し、魔王を討伐できるかどうかの分かれ道になります。
主人公がどちらを選ぶべきなのか。
今回は、この選択をよりドラマチックにするための、あるテクニックをご紹介します。
物語にとって負のテーマ、例で言えば「自分には『勇者」としてしか価値はない」という考え方を選んだ人物を、主人公の「ありえたかもしれないバージョン違い」として登場させるのです。
主人公の「影(シャドウ)」
「主人公がもし選択を間違えていたら?」という可能性を形にした存在を、しばしば「影(シャドウ)」と呼びます。
たとえばこの役割を、「100年前の先代勇者」というキャラクターに担わせてみましょう。
100年前、同じように魔王を滅ぼした勇者はしかし自身の人間としての価値を信じ切れず、勇者としての力だけに存在理由を見出してしまった。
結果、力の追及に溺れた先代勇者は、禁じられた魔法を習得する。その魔法は実は、人を魔物に変えてしまう恐ろしい呪いだった……といったところでしょうか。
選択を誤った主人公がどうなるのかは、この人物によって体現されます。
たとえば魔物と化した先代勇者が、100年のあいだ力を追い求めるばかりで本当に欲しかった「居場所」や「自己肯定感」は得られないままだった、という描写が挟まれれば、主人公に「自分はこうなってはいけない」と思わせる強烈なフックになるはずです。
様々な形の「影」
「先代勇者」はわかりやすいパターンですが、実際の物語には非常にバラエティ豊かな「影」を登場させることができます。
たとえば……
・ともにプロを目指した野球仲間。主人公は怪我をきっかけに新たなプレイスタイルを獲得したが、同じ怪我をした友人は自暴自棄になり、才能を腐らせた。
・主人公と同じ村出身の親友。陰謀によって村を滅ぼされた経験から、主人公は世界全体の平和を目指すようになるが、親友は復讐鬼となり無関係の人々に危害を加えている。
・転生した乙女ゲームの本来のヒロイン。破天荒な言動で注目を集める悪役令嬢(主人公)を真似て傍若無人にふるまうが、周囲の人の信用を勝ち取っていなかったため、単に顰蹙を買ってしまう。
・主人公が目標としていたカリスマシェフ。複雑な味がなかなか理解されない苛立ちから、金持ち以外を馬鹿にする悪徳シェフになってしまった。
「影」は解釈と発想次第で、様々な形を取ることができます。
ぜひご自身の作品ではどのような形で応用できるか考えてみてください。
「構造」を活用するということ
さて、ここまで6回にわたり、さまざまな理論を紹介してきました。
あらためてお伝えしておきたいのは、構造は「正解」ではなく「基本形」であるということです。
建物について思い浮かべてみてください。家、学校、レストラン、家電量販店、スタジアム……それぞれまったく別の見た目をしています。扉の形、屋根の形、壁の素材、入れる人数などもバラバラです。
しかしどんな建物にも、「壁と屋根があり、出入りするための扉や窓がある」という基本形はだいたい共通しているはずです。
物語も同じです。基本形はありますが、どんな作品を作りたいかによってその形は自由に変えてかまいません。
創作する上での理論とは、好きに無視して、思うまま歪めて、自由な発想で拡大解釈してよいものだと思います。重要なことは、ひとまず「そういうものがある」と知っておくことです。知らなければ無視することも、歪めることも、拡大解釈することもできません。
ぜひあなたの作品でも、ここでご紹介した理論をどんなふうに無視し、歪ませ、拡大解釈して、その上でおもしろくするか、創意工夫を凝らしてみてください。
カクヨムコンテスト11は、2/2(月)まで募集しています。
ぜひラスト1週間、もっともっとたくさんの作品を投稿していただけることを楽しみにしています!!
引き続き、すてきな作品のご応募をお待ちしております!
「カクヨムコンテスト11【短編】」の応募要項はこちらから。


