歴代受賞者インタビュー/朔(ついたち)(カクヨム甲子園2020ショートストーリー部門 大賞)

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夏恒例、高校生限定のコンテスト“文学はキミの友達。「カクヨム甲子園2021」”の詳細を発表しました。作品の応募受付は7月16日から開始します。

開幕に先立ち、今から作品の内容を考えている方、これから応募を検討したい方など、参加を予定している皆様へ向けた「歴代受賞者のインタビュー」をお届けします。

今回は、昨年のカクヨム甲子園2020《ショートストーリー部門》で大賞を受賞した朔(ついたち)さんにお話を伺いました。

▼受賞作『たんぽぽ娘』朔(ついたち)
kakuyomu.jp

Q1. まずは、小説を書き始めたきっかけについて教えてください。

母に勧められて高校の文芸部に入部したのがきっかけです。
処女作を読んだ先生や先輩方が「面白かった」と声を掛けてくださったことで創作の楽しさに目覚め、今に至っています。

Q2. 好きな作品と理由を教えてください。

夏目漱石の『こころ』です。
高2の夏に読み、小説作法の髄を極めた作品だと感じ入りました。
同様の意味で、カクヨム内の七海 まち先生の『ヤシロさんは成仏できない』も素晴らしく、私の創作のバイブルとなりました。

Q3. 受賞品の図書カードで購入した本があれば教えてください。

コロナ禍で通販が主になり2019年の分も含め、未だに図書カードを使う機会がありません。
落ち着いたら書店に行き「この棚のここからここまでぜぇんぶ頂戴」というのをやってみたいと思います(笑)。

Q4. 受賞後、変化したことはありますか?

受賞作に身に余るような講評を頂き感激しましたが、2年続けて構成が評価されたことは表現者として超えるべき課題だと感じました。
今は何よりもまず「面白かった」と言って頂けることを目指して、エンターテイメント性の高い物語の執筆に取り組んでいます。
恐らくそれが一番の変化かと思います。


――カクヨム甲子園2020の大賞受賞作について教えてください――

Q5. アイデアは、何から着想を得たのでしょうか?

KAC2020のお題の1つ「拡散する種」に着想を得ました。
テーマを見た瞬間に、山の斜面で風に舞うたんぽぽの綿毛を見送る女性の姿が心に浮かび、その後全てのシーンの映像が降りてきました。
その残像が消えないうちに必死でキーボードに指を走らせ、一気に書き上げたのが『たんぽぽ娘』です。

Q6. 創作の際に苦労した点は何ですか?

最初に書き上げた時は5000字を超えており、そこから4000字以内に収める為に書くべき事と省くべき事を選別するのが大変でした。

構成としては、1つ1つの言葉がドミノ倒しのように連鎖して、最後に物語を一枚の絵のように浮かび上がらせるという効果を狙ったので、情報を出すタイミングや文字の配置などを細かく調整する必要があり、神経を使いました。

ですがその結果として、「恋」や「死」に直接言及することなく、意識的に「読み取れる行間」を作り出すことに成功したのではないかと自負しています。

Q7. 最後に、カクヨム甲子園2021に挑戦する高校生にアドバイスと応援メッセージを!

どんなに素晴らしい物語でも読んでくれる人がいないと輝きません。
それはつまり読者を意識せずに書いても作品は成功しないと言うことです。

作者が書きたいと思うことが1個のボールだとしたら、闇雲に放っても誰の心にも届かない。
受け取って欲しい誰かに届くように、距離と球種を考えて丁寧に投げる。
それが創作の基本姿勢だと思います。

カクヨム甲子園は年々レベルUPしているので、私自身が「今年出しても受賞出来なかったろうな」と思うくらい沢山の傑作が集まることでしょう。
頑張ってください。応援しています。

朔(ついたち)さん、ありがとうございました!



”文学はキミの友達。「カクヨム甲子園2021」”の応募受付は、
7月16日17:00から開始します。

▼”文学はキミの友達。「カクヨム甲子園2021」”特設サイト
kakuyomu.jp