姫様の身代わりで貴族学園に通う事になった従者の俺が、大英雄に担ぎ上げられるまで ～悪辣公女の婚約者候補殲滅計画～

「――グレイ。あんた、あたくしの代わりに学園に通いなさい」

　シャルロット姫様のわがままはいつもの事とはいえ、その日の命令は飛び切り無茶なものだった。

　――ステルシア帝国の貴族の子らが集められる帝立学園。

　とにかくお偉い御家の方々が、将来に備えて交友を広げる為の学び舎に、よりにもよって姫様は平民の俺に通えと仰せなんだ。

　……理由はわかってる。

「だって、このままじゃ好きでもない男と結婚させられるのよ!?」

　皇子達が皇太子の座を求めて暗闘繰り広げる現在の宮廷では、より家格の高い御家との結びつきはなにより重要視されているらしい。

　そんな中で、エルディオン公国の公女である姫様は、殿下方にとっては格好のトロフィーというわけだ。

　姫様の気持ちはよくわかる。

　なんでも自分…続きを読む