第28話
全員の自己紹介が終わって麗奈が言った。
「それでは、これで自己紹介を終わらせて頂きます」
そこに飯尾が言った。「社長の自己紹介はないのですか!?」
麗奈が心平に目配せをしたので、彼は立ち上がった、
「ワシの自己紹介をした方がええ思う方は、手を挙げてつかぁさい!」と言うと、「はい、はい、はい」と口々に言って、全員が一気に手を挙げた。実は心平はやりたくなかったが、皆が手を挙げたので、仕方なく自己紹介をし出した、そして終わると心平が、「パートさんたちにゃあ、ワシから今後の仕事内容をお話さしていただきます」と言った。
説明を終えるとパートたちと麗奈は、用事があるということでタイムカードを押して帰宅した。
美浦孝子が心平に言った。
「社長、ご相談があるのですが?」
「どうした?」
厨房で話し終えた孝子と翔平兄弟に心平が訊いた。「夕食はどうするの?」
「姉貴と一緒に途中でラーメンでも食べて帰るから」と翔平。
「じゃったら、居酒屋にでも行きますか?」と心平。
翔平が嬉しそうに言った。「えぇ! いいんですか?」
「うん、ワシも、どこかで食事をせにゃあいけんけぇ、もしえかったら?」
「ワシャ、嬉しいんじゃけど、姉貴はどうなんじゃろうか?」と孝子の顔を覗き込んだ翔平に、間髪いれずに孝子が言った。「当たり前でしょ!本当は社長と二人だけで行きたいぐらいなんだから!」
「そがいな訳じゃけぇ姉貴の事、社長! どうぞ宜しゅうお願いしますね!」と翔平がニヤニヤしながら言った、
「そりゃ、どがいな意味かのう?」と心平は鈍感なので良く分からなかった。
「どがいな意味もないよ、姉貴は社長の彼女になりたいって、ずっと言いよったんじゃけぇ!」と翔平。
「翔平! んもぅ……やめてよ!」
「それにしても、翔平さんは安芸弁と標準語が混ざっとるよね」
「そうなんですよ、翔平は標準語が恥ずかしいみたいで」
「そうなんじゃ」と心平が言って笑った。
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