第16話
そこに同窓会の幹事の石田から電話があったので席を立って「レイナ、ごめん」と言い店の外に出た。
「おお、先日はありがとの。それでどうした?」と心平。
「あのミキティが帰って来たんじゃ。この前の同窓会に出たかったんじゃげなんじゃけど、色々あって出られんかったって電話がかかってきたけぇ、またワシらとミキティで同窓会をやることになったんじゃけど、われも来んか?」と石田。
「ワシャええよ。昨日もレストランで偶然に会うたけぇさ」と心平。
「そっか。じゃぁ、彼女に伝えとくけぇ」と石田。
「うん。よろしゅうたのむ」と心平。
実はミキティと心平は中学時代付き合っていて、手を繋いだ程度の淡い恋人関係だった。そして心平はクラスで一番の成績で二番がミキティだった。彼女と彼は中学を卒業してからも付き合っていて、親同士も認められキスまではした間柄だった。しかしミキティが広島大学を卒業して、同級生だった彼と東京に駆け落ちして結婚した。それで心平との関係が終わった。
心平はテーブルに戻ると料理がおいてあり、麗奈は食べずに待っていた。
「ごめん、この前の同窓会をもっぺん、やろう言われてさ」と心平。
「何でまたやろうって言われたのですか?」と麗奈が怪訝そうに。
「冷めてしまうけぇ食べながら話そう」と言いすすめた。
「昨日、イタリアンで会うた美紀子が帰って来たけぇまた集まろう言われたんじゃけど、『ワシャ昨日会うたけぇええよ』って断ったんじゃ」と心平。
「そうですよね。一回会えば十分ですものね。あー良かった。私、あの人、嫌いですから」と苦々しい顔で言った麗奈だった。
そこにまた電話がかかってきて今度は美紀子からだった。
「ごめん、食事しといて」と言って席を外した心平だった。
「ミキティ、どしたん?」と心平。
「同窓会に欠席ってどういうことよ!」と美紀子。
「昨日、会うたけぇええじゃろうよ。他の皆と楽しんでくれよ」と心平。
「心平が来ないんじゃ、やる意味がないから私も欠席するから」と美紀子。
「われ、バカか!? 石田がわれのために皆を集めてくれんさっているのに、当の本人が欠席って?」と心平。
「だから心平も参加してよ」と美紀子。
「ワシャわれに振られた男じゃ。もうええじゃろうよ」と心平。
「だから昨日、私があの彼女の前で宣言したじゃない? あの気持ちは本気なんだから!」と美紀子。
「バカも休み休み言えよ。ワシャ今、ランチ中じゃけぇ電話を切るよ」と心平。
「んもぅ……心平ったら……!」美紀子。
「じゃぁね!」と言い心平は電話を切って戻った。
「悪かったね。あれ、まだ食べとらんかったの? すまんのぉ。じゃぁ、食べよう」と心平は申し訳なさそうに言った。
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