第15話
別に心平は新商品開発資金として二百万円の融資を銀行から借りたが再度、五百万円の設備と運転資金の融資をお願いしたところ、すぐにOKが出たので融資が出るまでは、心平の預金で賄うことにしていた。それらと開業に関するパートたちの衛生指導などは心平がやる。
厨房には新たに中古機材の導入を考えていて、饅頭を仕込む際の業務用蒸し器としてスチームコンベクションと、饅頭ができた後に冷ます急冷機、さらには一個ずつラップに包む包装機材だ。その他の仕込みは全て手作りにするので多くのパートが必要なる。
被覆成形機があれば、パートはそんなに必要がないのだが、それをしてしまったら手作り感が薄れてしまうので、人の手でやりたいと思っていた。
彼は兎に角、手作りにこだわりたかった、機械化した商品は食べれば分かってしまうからだ。美味しいと客が思ってくれれば、信用を得る事ができる、
信用は一日や二日では得られない、毎日毎日、飽きる事無く美味しいを提供していく事で初めて得られる、儲けを先に考えて商売をしたら客に必ず伝わってしまう。
儲けを度外視する訳ではないが、キチンと利益を確保するには仕入れが重要になる、心平はすでに仕入れも考えていたし、今までの生産者とは、毎月、月末に買い掛けで支払いをしていたが、今後は仕入れ後すぐに現金決済にすることにした。
勿論、相手に損をさせるのではなく、お互いにウインウインの関係を保てる金額での仕入れだ。相手も売掛でないので、今以上に価格を下げてもらえることになっていた。
中古機材屋に麗奈を連れて見に行った。すでに電話を入れて話が伝わっていたので、社長が対応してくれて、機械とその他の厨房用品を出してくれていた。
明日はパートの面接なので、明後日に納品と設置をしてもらうように注文を入れてきた。その後は麗奈と一緒にランチをしに彼女の一押しの店に行った。
広島大学の学生が集まる定食屋だ。
「社長、ここは何を食べてもリーズナブルで手作り感があって美味しいんですよ」
「レイナを採用してげに良かったよ。こうやって評判のええお店をえっと紹介してくれんさってさ、今までワシ一人じゃったけぇ、昼に食事をしに行くことものうて、いつもコンビニで買うて食べよったけぇ、なんか優秀なスタッフと美人で可愛い恋人も同時にできたって感じがするけぇさ」と心平は徐々に麗奈をそのように見るようになっていたが、シャイなので冗談っぽく言った。
「社長、そんなことを言ったら私、本気にしますよ。何を食べます? 私はハンバーグ定食にしますけど、社長は?」と嬉しそうに言った麗奈だった。
「じゃぁ、ワシャ、生姜焼き定食にしようかな?」
「すみません、生姜焼き定食とハンバーグ定食をお願いします!」
店主が答える、「はいよ!」
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