第14話
翌日、元気良く麗奈が出勤してきた。
「おはようございます、社長!」
「レイナ、おはよう! 元気がええな、まずはタイムカードを用意したけぇ、打刻してほしいんじゃ」
返事をしながらタイムカードを打刻した麗奈。
「はい、社長!」
「昨日、祖父と両親と話したら、ワシの好きなようにしてええ言われたけぇ、そのつもりで動いてもらいたいんじゃけど、ええか?」
「はい、まずは、昨日ですが、ご馳走様でした。そして社長が昨日のレストランでおっしゃったことですが良く分かりました。では、一日にお饅頭を何個、販売したいと思っておられるのですか?」
「うん、当面は一日に1万個を目標にしたい思うとるんじゃ」
「でしたら売上が一日70万円で、原価が一個25円、これは10個に対して一個のサービスが付くので、金額は上がります、ですから45万円が粗利です」
「そうすりゃ、銀行から借りた200万円と、その後の500万円も、難なく返済できるし、パートさんも増やすことができるけぇ、それで、いこう思うとる、ほいでパートさんを募集するけぇ、求人会社に電話しよう思うとるんじゃが?」
「社長、そんな事をしなくても私がすぐに無料で集めます。ただし面接は私にさせてもらえませんか?」
「面接はワシも同席するけど、ええかな?」
「はい、でも私にすべてを任していただけませんか?」
「それはダメだ」
「どうしてですか?」
「スタッフは、まず店主であるワシが採用を決めるのが当たり前じゃし、採用したらレイナと一緒でワシが彼らを幸せにする義務が生じるけぇ」
「そういうことなんですね。分かりました。出過ぎたことを言ってすみません」
「出過ぎたことじゃたぁ、思うとらんし、謝ることじゃねえ、やる気があるなぁ、大いに歓迎しとるけぇ」
「ありがとうございます。それで昨夜、家に帰って社長のお考えをレストランで伺ったので、先回りしてやってきましたので、ご覧になって頂いてもよろしいでしょうか?」
「そうなんじゃ、ありがとの」
その後、二人でミーティングをした、麗奈は自身のバッグからノートパソコンを出して説明しだした。
(休業案内貼り付け)
店の前には、「店内改装と商品リニューアルのため、しばらく休業いたします 尚、開業のお知らせは店頭と弊社公式サイトにより発表いたします 和菓子店 桔平 店主敬白」と張り紙を麗奈が作っていた。10個の饅頭を包む包装紙とお得意様への招待状や名刺、
そして店舗案内のデザインを作成しようと思った心平だったが、すでに麗奈が昨夜の内に家に帰ってパソコンで作ってくれていて、あとは印刷屋にそのデザインが入ったCDRを渡すだけになっていた。何も直すところがなかったのには本当に驚きを隠せなかった心平だった。
そしてパート募集も麗奈のSNSで呼び掛けた、そのパートの条件としては、「徒歩で通勤できる方」と「履歴書・職務経歴書持参」だけだった。
そしたら何と、明日には12人ものパート希望者が来訪することが決まっていた。面接希望時間をそれぞれにショートメールで訊いて、麗奈がまたそれぞれに30分置きに来店するように伝えていた。
麗奈は昨日のレストランで話していただけで、その後のことは心平が指示をしないでも能動的に動いてくれていた、やはり彼女は頭脳明晰でありデザイン力に優れているとこんなにも凄いのかと心平は舌を巻き感動した。
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