　で、私が学生の頃こんな話をする子がいたんです。マネキンに手を引っ張られたとか、家族と手を繋いでいたのにいつの間にかマネキンの手を繋いでいた、そういう話が。それでマネキンが子供を拐っていくとか入れ替わるのだと。

　中には親が体験した話というものがありまして、子供がいないと思ったらマネキンと手を繋いで立っていた。子供に話を聞くとどうも話が噛み合わない。子供はずっと親と手を繋いでおり今の今まで手を離していないと言うのだ。という体験。

　他にも子供がマネキンと手を繋いで立っているのを見たという話があったりマネキンが増えている気がするという店員さんの話もあったり、泣き声が閉店後の店内から聞こえたとか。

　そうして伝染するように一時期は話題になりました。結局真相はわからないですが。

　まるで死んだ子や家族への悪意のようなものがどうも感じられて不気味なんです。なんでわざわざ事件が起きてから何年も経ったタイミングで噂がまわってきたのか。もしかしたら犯人が⋯⋯なんてのは考え過ぎかもしれませんね。

　いや、もしかしたら亡くなった子供の両親が流布したなんて気がします。子供のためなら親というのは何でもするといいます。理由は２つほど考えられますよね。

　亡くなった子供がひとりではかわいそうだから、道連れに。或いは犯人への復讐。

　考え過ぎですねやっぱり。ごめんなさいこれは聞かなかったことにしてください。

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