第4話 誰かの落とし物

1 完

 近所の道、いや道路に関するそれなりに有名な話がある。複数の人が噂してるくらいには、まぁありふれた話だけど。

 車とかタクシーが通ると高確率で発生する出来事だ。よく幽霊が乗車して墓地に帰って行くって話があるよね、あれと少し違うんだね。まぁ大して変わらないけれど。いろんな人が語ってるからいくつかパターンはあるみたい。

 K市から少し外れた道あまり舗装はされてないんだけどね。そこには高確率で起きるってね。


 Yさんはその時間に混雑しないこともあってそこをタクシーで通って走ってたらしい。勤めて浅かったこともありそんなにこの辺の噂を知らなかったのだとか。

 その日最後の乗客を下ろしたあとだったので帰るため最短ルートとしてその道を走っていた。

 墓地があるような道でもない、田畑やビニールハウスらしいものが所々点在する以外代わり映えしない景色。

 眠気を感じつつも人に気をつけていた、うっかり轢いたら取り返しがつかないわけだから当たり前でしょう。少し暗い道だというのもおおいに影響したといえますね。まぁこの時点では何もないんですね。あくまでもここを通ったという事実が問題なんですから。抜けた頃にふと後部座席をみたんです、理由らしい理由と言えば忘れ物確認程度のもの。でも多分違和感を感じつつあったのかもしれませんね。

 ともかく後部座席には人等居るわけなかったのですが、ライトをつけて見たらば後部座席の足元辺りに人形の一部分(片足)が転がっていたのだそうです。

 仲間にYさんがその話をすると地元では有名な話だと聞かされたとか。



 ちなみに他の人も似たようなことが起きているのですが実は少しだけ違うことがあるんです。それは人によって落ちてる人形の一部分がどの部位かは話す人、体験した人によって違うらしいのです。


 まぁそれがどうということではないのですが、ひとつだけ言っておくとある人が懲りずに何度か同じルートを何回か通ったらしいのです。が、落ちていた人形の部位が毎回違っていたそうな。全部が集まりそうになった時に、二度と走らなかったらしいですよ。理由は全部部位は毎回違っているのです、そこまでだったらいっそ集めてしまえばと思ったらしいのですが。気づいたらしいんです人形の種類も毎回違っていたことに。


 だから何があったとかそんな話でもないし、そこに何かいわれがあったとかでもなくて。単純にそういう話なんです。ただただ意味不明な出来事が起きるそんな話。地元ではわりと有名です。


 


 

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