3
残りの話を親と教師がやりとりしていた、僕は担任と共に慣れない制服で教室に連れられ廊下を歩く。
「じゃあ先に入って、転校生が来ると伝えるから、呼んだら入って来てくれ」
そういうと担任は教室の戸を開け中へ入っていく。中では生徒の騒々しい声が響いている。
「よし、いいぞ入れ」
そう言って担任が戸を開け僕は教室へ。
黒板と教卓の近くまで歩くと振り向く、あっ、とのまれそうになるのは視線が集まってくることに慣れないせいだ。
チョークを手に取り名前を書く。
「
「小瀬はあの窓際の奥の席やな」
そう言って担任が指差した席へ僕は移動する。
「なぁ、どっから来たん?」
「よろしくね、転校生」
口々に周りの席のクラスメイトが話しかけてくる。
「大阪だよ」
「こちらこそ、えっと、よ⋯⋯ろしく」
適当に返事をすると鞄を下ろして席に座る。
前に先ほど聞いてきた男子生徒が右前に先ほど話しかけてきた女子生徒が座っている。
「騒ぐのは休み時間にせぇーよ、今はちゃうやろ」
担任が声を上げて、騒ぐ生徒を黙らせる。前の二人もごめんねと謝ると前に向き直った。
休み時間になると先ほどの二人を含め数人のクラスメイトが僕に近づいて来た。
「なぁなぁ、小瀬くんは聞いとるん?」
先ほどの二人とは別の子が話しかけてきた。
「なんのこと?」
聞いておかないとならないことがあったんだろうか?と不意に不安になる。
「うちの学校の習わし?があってね」
「そうそう、学年ごとにな」
「このクラスだと乾さんやな」
口々に言うことが断片的でよくわからない。廊下へ連れ出され詳しく聞かされた。
聞くとこの学校には代々1学年に1人、おなり様というものがいて、毎日見た目が変わるのだが姓名は同一の人物が入学から卒業まで他の生徒と同じように学校生活をする。学年によってその人の姓名は違うらしい、また話しかけたり仲良くするのはかまわないが容姿について言ったりいじめをするのは良くないらしい。
「でね。この学年はうちのクラスの乾さんなの」
とひそひそ口に手をあてがうように女子生徒が言う。
「変やなっ思うやろうけど破ったら酷い目に合うんやて」
最初に話しかけた男子生徒が言う。
正直言うと理解し難く、あまりにも真面目そうにそういうものだから。
「わ⋯⋯わかった」
そう答え自分の席へと戻る通り様にその乾さんという女子生徒を見かけた、彼女は廊下側の奥の席だと先ほどの三人から聞いていたからだ。
そこからは面白いことなく授業が普通に過ぎて何事もなく終え、帰宅の準備をしていると帰宅方向が同じだからと先ほどの男子生徒と一緒に帰路へ。
「ほんとに変やろ、習わしのこと」
「え、あぁうん」
「明日会ったらわかるわ、嫌でも」
そう言うと彼と別れる彼は市木と名乗った。
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