2 完

 その日、わたしは乗るはずだったバスに乗り遅れた。その時バスにわたしらしい誰かが乗っているのを見たように思う。これを境に見ることはなくなった、聞くことも。

 この乗るはずだったバスは事故に見回れたと数時間後に知った。ちょうどわたしらしい存在が見えた座席が大きく損傷し、見るも無惨な状況だった。数人の怪我人で済んだらしいのだが。

 何人かの乗客がこう証言していたらしい、その座席に高校生が座っていた、そして事故に巻き込まれ大怪我をしていたが見えなくなった。と。

 結局乗客が錯乱したのだろうという話にはなっている。


 わたしはこの時、なんの根拠もないけれどわたしの偽物によりしばらく損をしたが変わりに身代わりになって回避できた。もちろんなんの根拠もない。



 数年間悩まされたそれはもう居なくなったが、最近幼稚園児の娘の姿を別の場所で見たといった話を聞く。いや聞いただけでは無い、幼稚園に行っている間にあの子の姿を家の階段の上で佇んでいるのを見た。


 この前も、今日も。そして目撃と同じくあの子が小さな怪我を増やすようになった。この前は階段で足をすべらせ怪我をした。

 もしこれが偶然で済ませられればいいと思う。


 もしもそうでないならと思うとわたしは不安でならない。

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