第7話 流行りの話
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町で何故か流行った都市伝説とでも言うべきかそういうお話があったのです。中には本当に⋯⋯と言っていた子もいたくらい。大人達はそんな馬鹿げた話で騒ぐ子供を特に小中学校では、そのような話を騒ぐことを宥め叱るという有り様になった程度には。
ある大型スーパーの家族っぽいマネキンが人と入れ替わり続けているらしいというのが大まかな話。
はたしてそれは誰が言い出しなんのために、といったことは正直わからない。例えば競合会社の人間によるものだったのかもしれない、そんなことはどうでもいいのだから。
ではこの話が一世を風靡したのか、これには理由があったのです。
ある子供連れの家族がその日そのスーパーでショッピングに来ていました。ところが家族のひとり息子は忽然と姿が見えなくなったのです。もちろん大騒ぎで、店員や警察がその子を手分けして探しました。どうしても見つからず翌日も警察による捜索が続けられました。誘拐の可能性も考えていたそうな。
3日目、それはもう大騒ぎでした。理由はマネキンにありました。子どもサイズのマネキンの首が男の子の首にすげ替えられていたから。結局犯人は見つからず、彼の首から下は見つかることは二度とありませんでした。
この事件が忘れられた頃につまり当時その子と同年代の人が親になった頃から突然都市伝説として噂として語られたからです。
そんな下地があったから大人はこの都市伝説を大事にしたくは無かったのだと後から知りました。
件のスーパーでは頭だけがマネキンの男の子が夜な夜な現れると噂されています。それゆえに時給も周囲より高いんだそうです、何せ辞めたがる人が多いそうなので。
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