第29話 それは
七日目、日曜日。
ナゾは、さいごの日にとかれた。でも、それがナゾだったことは、それを見てからはじめて気づいた。
そういえば、なんでだろうと、最初のころは考えたような記憶もあるけど、途中からはかんがえなくなっていた。
図書館の最終回。
シマさんがそれを言いだして、なんだそれは、と、おもって、そこに意識がもってゆかれていたからかもしれない。図書館の最終回、って、なんだろう、それは、どういうことで、どういうことになるんだろう。まるで、本棚で、そういう題名の本を、みつけてしまったみたいなきもちになってて、じゃあ、その本のなかみにふさわしい内容はなんだとうと、かんがえて、かんがえて、かんがえていたせいで―――シマさんのつくりだしたナゾは、ないがしろにしていた。
だいたい、ヘンだった。ヘンすぎた。
奇怪だった、奇怪すぎていた。
シマさんは、出会ったときにぼくへいった。この図書館は、いずれ、じぶんのものになるはずだった。それがホントかはさておき、シマさんがこの図書館のカギはもっていたし、自由に出入りしていた。
じぶんのものになるはずだった図書館がなくなる。だから、せめて、さいごに森ノ木図書館をおとずれたい。そう思ったのかもしれない。
それならわかる。
でも、シマさんは、あの夜から、毎日のように、この図書館へやってきた。それも、学校が終わってから、放課後。制服姿のまま。
そして、ぼくへ、なにか、とくべつなことをしようと提案して、図書館の中で時を過ごし、でも、けっきょく、毎日、時間がただすぎて終わっていった。
それでも、シマさんは、なにもできないけど、なにか、したい。と、おもった。
それなら、ちょっとはわかる。
よくよくおもって、よくわからないのは、ぼくのそんざいだった。
なぜ、シマさんはこの図書館で過ごすさいごの日々に、ぼくをあそったのか。
だって、ぼくとシマさんは、むかしからの友だちでもない。中学校がおなじわけでもない。
ぼくはといえば、たまたま、ぐうぜん、この森ノ木図書館の隣に、むかしから住んでいるだけだった。
じつは、シマさんが、この図書館をむかしから通っていたぼくのことを、いっぽうてきに知っていた。だから、いつも来ていたぼくを、とくべつに、さそった。
という、ことでもなさそうだった。シマさんとぼくは、数日前、かんぜんにはじめて出会った者同士だった。
どうして、彼女は、ぼくを、この図書館の最終回へ参加させたのか。
それは―――
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