第12話 ネコ

 謎の沈黙の間が流れたあと、シマさんはいった。

「おっと、続きは次回のコウシャクで」

 そして、図書館からひきあげていった。

「次回といっても、あした、また来るから」

ぼくに、ポテチチップの入った袋をわたし、かえしたドローンを胸に抱いて、さってゆく。

 くわしい説明もせず。

 ぼくは、シマさんを家は塀越しに見送った。もうすこし、ちゃんと話をしてほしいし、なにより、やるともいっていない。いっぽうで、歩くシマさんのうしろ姿は、ちょっとたのしそうだった。とちゅう、彼女は隣の家の庭に、ネコがいるのをみつけると、ネコへ手をふっていた。

 ぼくには、ふってくれなかったのに、ネコにはふるのか、手を。

 ネコには。

 ふーん。

 そういえば、ジカイのコウシャクってなんだろう。あとで検索してみよう。ぼくは明りのついていない図書館を見てから、家に中へ戻った。そして、夕ご飯まえにもかかわらず、もらったポテチチップを食べてしまう。ネコめ、と思いながら食べる。

 おいしい、でも、罪の味におもえた。

 そして、次の日、学校へいってもずっと考えていた。

 最終回。

 図書館の最終回とは、いったい。

 だいじょうぶなのか、シマさんは。

と、ときには、しつれいにも、そんな方向にことも考えた。

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