第7話 シオン、盗賊団と戦う

シオンの忠告を受けてもなおこの場から逃げるかどうかを迷っていた商隊であったが、盗賊団がシオンに向けて飛び掛かったところでついに逃げていった。

それを確認したシオンが、盗賊団との戦いを始めていく。

まずは斧を振りかぶって飛び掛かってきた盗賊の一撃を軽く避け、斧を持っている手を掴んで引き寄せた。


「おらぁ! 食らえ!」


「おっと。そんなのじゃ当たらないよ。それより私からもいくよ?」


「……え? おわっ!?」


そのまま盗賊の首も掴むと、次の瞬間には盗賊を地面に叩き付けて拘束しようとしたのだが、すでに次の盗賊が迫ってきていたためにすぐに立ち上がる。

同時に拘束しようとしていた盗賊の脇腹を、立ち上がった時の反動を利用して蹴り飛ばし、自身から遠ざけた。


「続けて首も掴んで……そのまま押し倒す!!」


「うげぇっ!?」


「まずはひとり……って捕まえてる場合じゃないね、これは……よっと!」


「……へ? ぐげほっ!?」


一連の行動で最初の盗賊を退けたシオンは、次の盗賊に対処していく。


「次はあなたかしら?」


「舐めるなよ! 俺はそいつみたいに簡単にはやられねぇぞ!」


「それは戦ってみないとわからないわね。というわけだから、早く掛かってきなさい」


「舐めるなって言っただろうが!」


シオンの言動に怒った盗賊Bが、そのように叫びながらシオンに向けて突撃してくる。

その突撃も避けたシオンは、盗賊Bの腕に手刀を当てて剣を落とさせた。


「お、向かってきた。それもさっきと同じように一直線に。まさかさっきの攻防を見てない、なんてことはないよね?」


「なにをぶつぶつと言ってやがる! 死ねぇ!」


「……ほいっと、そんなんじゃあ当たらないよ?」


「ちっ! この……!」


「はい、手刀。武器は落とさせてもらうよ」


「げっ、あっ!?」


盗賊Bの剣を落として丸腰にしたシオンは、続けて盗賊Bの腕と首を掴み、同時に足を引っ掛けて盗賊Bを力強く地面に叩き付け、あっさりと二人目を行動不能状態にしていった。


「そして続けて……!」


「え? え!?」


「このまま地面に叩き付ける! ちょっと息ができなくなるけど、すぐに気絶するだろうから心配ないよ!」


「は!? ……がっ……はっ……!?」


あっという間に仲間達二人を倒された盗賊団は、シオンに向けて複数人が一斉に飛び掛かっていく。

その数四人。

しかしシオンは一切慌てることなく、飛び掛かってきた盗賊四人に魔法弾を放つ。


「……おい、この小娘強えぞ……?」


「これは……どうしやす、お頭?」


「……ひとりずつじゃあ無理だ、全員一斉に飛び掛かれ!」


「わかりやした!」


「おら! いくぞ小娘!」


「……あら、四人同時に……まあ私は手間が省けて楽だから良いんだけど……」


「またぶつぶつと……!」


「構うな! やるぞ!」


「おう!」


「……これぐらい引き付ければ良いか……食らえ、魔法弾、無属性!」


「……え? ぐわっ!?」


「ぎゃあっ!?」


シオンに飛び掛かった盗賊四人は、シオンの放った魔法弾の直撃を受けて全員が失神してしまった。

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