第2話 シオン、休暇を受け入れる
「……あの、陛下、ひとつお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
数秒間呆然としていたシオンであったが、ずっとこのままではいけないと感じ、思いきって国王にことの詳細を尋ねてみることにし、この問いに国王が答えていく。
「構わん、なんだ?」
「休暇とはなんなのでしょうか? 美味しいものなのでしょうか?」
「……違う、そうではない」
シオンの問いを聞いた国王は頭を抱え、頭痛を堪えながらシオンの問いに答え始める。
「良いかシオン、休暇というものはだな、日頃の仕事の疲れを癒したり、買い物をしたり、親しい人と穏やかな時間を過ごす、このようなことを言うのだぞ?」
「そうなのですか、初めて聞きました」
「……すぐにバレるような嘘を吐くものではないぞ、シオンよ?」
「いえ、嘘ではなく本気で話しているのですが……」
「……そうか」
シオンの問いに答えた国王は、答えを聞いたシオンの反応を耳にしたところで再度頭痛を堪えるために頭を抱えていった。
そんな国王にシオンは今度はまったく違うことを尋ねていく。
「陛下、少しよろしいでしょうか?」
「……構わん、申してみよ」
「この国の発展に私がどれだけ貢献しているかご存知ですか?」
「……ああ、知っている」
「私の貢献度をご存知であられるのに、その私に休暇を与えるという判断は間違った考えなのではないかと私は思うのですが……?」
シオンは失礼なことを聞いているなと思いながらも、自分に休暇を与えたのは間違いであると国王に訴えた。
これに国王や国王の側近が答えていく。
「確かにそなたの貢献度はよく理解をしている。それは間違いない」
「でしたら……」
「我々はこの状況が問題だと思っているのですよ、シオン殿」
「どういうことですか?」
「なにごとか問題が起こると誰もがそなたに頼りに行く。このような状況で突然そなたが怪我や病気で身動きが取れない状態になってしまったら? 国家運営ができなくなる事態に陥ってしまう」
「……あの、陛下、お言葉を遮ることになりますが、私は治癒魔法も使えますから怪我や病気もすぐに治癒できるのですが……」
「話の腰を折るでない」
「申し訳ありません……」
国王の指摘に平謝りしたシオンに、側近が更に言葉を掛けていく。
「まあシオン殿、そういうことですから我々が話し合い、シオン殿に休暇を与える期間を人材育成の期間にしようということになったのです」
「……そうなのですか……ということは私はどうしても休暇とやらを受け入れないといけないのですね?」
「そうだ。受け入れてくれるな? シオンよ」
「……わかりました。まだ納得できないところはありますが、受け入れます、陛下」
シオンはそう言って国王に跪いた。
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