第3話 シオン、休暇中の方針を決めようとする

国王達の言葉を受け入れ、休暇を取ることを承諾したシオンは、直後の第一声で国王達を再度頭痛の真っ只中に落としていく。


「……それで陛下、ひとつだけお尋ねしてもよろしいですか?」


「……なんとなく嫌な予感がしなくはないが、良いだろう、なにを尋ねたい?」


「……私の休暇なのですが、私はなにをすれば良いのでしょうか?」


「……うむ、もしかしたらそう聞かれるかもしれんと思っていたが、予想通りの発言で頭が痛いぞ、シオンよ?」


「それは……申し訳ないことをしてしまいました」


自身の発言を受けて発したシオンの謝罪を聞いた国王は、休暇中になにをすればいいかがわからないと答えたシオンに休暇中にやれば良いと思う様々なことを提案していった。


「まあよい。それよりも休暇中にやれば良いことだな?」


「はい。なにかあるでしょうか、陛下?」


「先ほども話したが普段の仕事の疲れを癒したり、買い物をしてみたり、親しい人と穏やかな時間を過ごすものだ。今話したものを中心に考えてみるのはどうだろうか?」


国王にこのように提案されたシオンは少し考えたあとで、話している方も聞いている方も悲しくなる返答を行う。


「……陛下、ただいま陛下に教えていただいた案を考えたのですが」


「うむ、休暇中になにをするか、決まったか?」


「いえ、陛下に教えられた選択肢のなかから考えたのですが、私は仕事に疲れを感じていませんし、買い物も特にする必要がありませんし、特に親しい人物もいないので、そういう人と穏やかな時間を過ごすというのもいまいちピンと来ないと言いますか……」


「……もう良い、止めろシオン。聞いている我々の方が悲しくなってくる……」


「……こうなる状況にしてしまったのは我々の責任なのですが、ここまでくると与えられる仕事をすべて受け入れてしまっているシオン殿にも問題があるような気がしてきましたぞ……」


シオンの発言を聞いた国王達が涙を堪えながらそう話すと、シオンが国王達に止めとも言える発言を行う。


「……そう思われるのなら、なにか休暇の過ごし方を、陛下が提案してくださった以外の内容で教えていただきたいのですが……?」


シオンのこの発言に国王達は頭を抱えてしばらく俯き、俯き終わると頭を掻きむしりながらもどうにか良い案を出し、その案をシオンに話していった。


「……ふぅふぅ……すまんなシオン、遅くなってしまって……」


「……いえ、大丈夫です……むしろそうまでして考えていただいたことに感謝の気持ちで一杯です」


「そうか……それでは早速だが提案するぞ?」


「はい、お願いいたします」


「シオンよ、そなたは旅に出るが良い」


休暇の過ごし方は旅に出ること、これが国王達が叩き出したシオンの休暇の過ごし方であった。

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