第26話 シオン、村人達に喜ばれる
「まずは村の人達とゴブリンとの識別をしていかないと……」
ゴブリン達と戦い始めたシオンは、最初のうちはゴブリン達のデータ収集のために本気で戦わなかった。
その様子を見た村人達はシオンに邪魔だから下がるように言っていく。
「そいつもできた……この相手も終わった……大体半分ぐらいは識別できたかな」
「おいそこの旅人! そんな戦い方しかできないなら下がってろ!」
「そうだ! 邪魔なんだよ!」
「あ、ごめんなさい、少し準備が必要なことをやっているものですから、つい……」
このように話して村人達に言い訳をしたシオンがさらに準備と並行しながら戦うこと数分、ついに準備を終わらせたシオンがゴブリン達にこれまでとは違う攻撃を行った。
「……よし、準備完了! いきます、重力反転!」
「……グゲ!?」
「ギャギャ!?」
シオンの魔法で宙に浮かされたゴブリン達が驚きの声を発する。
それは村人達も同様で、驚きの声をあげるものがいれば声にならない声をあげるものもいた。
「……へ?」
「な、なんだ!?」
「くぁwせdrftgyふじこlp!?!?」
こうしてゴブリン達と村人達がパニックになるなか、シオンは次の魔法を発動させていく。
「続けて、ルミナスブラスト!! 吹き飛びなさい!」
この叫びと共にシオンが発動させた魔法で宙に浮いたゴブリン達の周囲に光が集まっていき、その光が集まりきった時、大爆発が起きてゴブリン達をすべて吹き飛ばしていった。
「ふう、これで終わったかな?」
ゴブリン達を吹き飛ばしたシオンがそう言って周囲を見回すと、村人達が一斉に駆け寄ってきて次々と感謝の言葉を伝えてくる。
「え? あれ? ちょっと皆さん? 急にどうされましたか!?」
「あ、ありがとうございます! 旅人さん!」
「おかげで村が助かりました!」
「あなたは村の恩人です!」
村人達にもみくちゃにされるシオンに、村人達を掻き分けてラオレットが声を掛けていった。
「あっ、皆さん、ちょっと、や、やめてください、ちょっ、苦しい! 苦しいですぅ!」
「あっ、すみません! すぐに離れます!」
「おーいみんな! ちょっとずつ下がってくれ!」
「これで大丈夫ですか? 旅人さん?」
「……ええ、大丈夫です。ありがとうございました」
「あっ、シオンさん、ようやく辿り着けた……」
「ああ、ラオ君お疲れ様。大丈夫だった?」
「はい、大丈夫でした。まあなにもすることがなかったので……」
シオンがゴブリン達をまとめて吹き飛ばしていったためになにもしなくて良かったラオレットが苦笑いをしながらそう言った。
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