第25話 シオン、騒ぎを終わらせる手伝いをする
シオンは騒ぎの中心部からは外れたところで心配そうに騒ぎを見つめている村人達に声を掛けていく。
「……ああ、皆大丈夫かしら……?」
「あ、すみません、少しよろしいでしょうか?」
「……え? ああ、まあ良いけどなんの用だい?」
「今この村ではなにが起きているのですか? ものすごい砂煙があがっていますが?」
「ああ、そのことかい。今この村はゴブリンの群れに襲撃されていてね、戦えるものが全員ゴブリンの群れと戦っているんだよ」
「ゴブリンの群れが?」
「ああ、そうだよ。だから悪いことは言わない、早くここから逃げるんだ」
村人からこのような話を聞かされたシオンとラオレットは顔を見合わせ、同時に頷くと村人達に自分達も戦うと告げた。
「大変ありがたいお言葉ですが、お断りさせていただきます」
「……え? それはどういう意味で……?」
「私達もゴブリンと戦います」
「ええ? なんでまたそんなことを?」
「通りすがりに気付いて、見て見ぬふりができなかったから、でしょうか?」
「そんな理由で首を突っ込んでくるなんて……お人好しにも……」
「程がある、ですか? よく言われます」
シオンの発言をきいた村人達はシオン達を白い目で見ながら、戦うといったことに関してはお礼を言ってくる。
「……まあ、一緒に戦ってくれるって言うのはありがたいから聞き入れるけれども……」
「あまりにも邪魔になるようならゴブリンもろともぶっ飛ばすからな?」
「それだけは覚悟しておいてくれよ? こっちにも余裕がないんだから……」
「大丈夫です、それぐらいのことは理解しています。ね、ラオ君?」
「……はい!」
村人達の言葉に心配無用だと返したシオンと、返答に少しだけ時間が掛かったラオレットはすぐに簡単な作戦会議を行うと村人達に加勢してゴブリン達に向かっていった。
「うん、良い返事だったよ、ラオ君」
「ありがとうございます」
「それじゃ時間もないから簡単な作戦会議だけしていこうか?」
「わかりました」
「私はゴブリンの群れのなかで、一番数が多くいるところに突撃しようと思う」
「了解です。それで僕はどうしましょうか?」
「ラオ君は村人に加勢しながら怪我人がいたらその怪我人を戦闘場所から連れ出してほしい。頼めるかな?」
「はい、大丈夫です!」
「よし、それじゃ行動開始! いくわよラオ君!」
「はい!」
作戦会議を終わらせたシオンはラオレットに話した通り、ゴブリンが一番密集している場所を見つけるとその地点に突入していき、ゴブリンとの戦闘を始めていったのである。
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