第6話 シオン、盗賊団と遭遇する

「やっぱりこれは……見て見ぬふりはできないよねぇ」


シオンは盗賊団に襲撃されている商隊を眺めながらそう呟くと、盗賊団と戦うべく地上へと降りていった。


「おらぁ!! さっさと……!」


「……うん? お頭! ちょっと!」


「あん!? なんだよ、こんな時に!?」


「な、なんか……上になんかいるみたいで……」


「……なに? 上だと?」


「は、はい……それに……」


「それになんだ!?」


「か、影が……影が少しずつ大きくなってきてやす!」


「降りてきてるってのか!?」


徐々に地上に近付いてくる影に盗賊団が慌て始めるなか、徐々に近付いている影ことシオンは完全に地上に降り立つと、最初に商隊の人間達に声を掛けていく。


「よっと、シオン参上。商隊の皆さん、大丈夫ですか?」


「え? あ、はい、大丈夫ですが……あなたは……?」


「私? 私は通りすがりの旅人Aです。だからそんなに気にしないでくれて大丈夫ですよ」


「……あ、ああ、そうですか……」


「そんなことよりも商隊の皆さん、まだ無事ならすぐにここから離れた方が良いですよ。もたもたしてたらまた盗賊団に襲われますから」


シオンは商隊の人間達にこう話して、すぐにこの場から逃げ出すように忠告する。

これに商隊の人間達が答えようとしたところ、この様子を呆然と眺めていた盗賊団がシオンに怒鳴り込んできた。


「おいてめえ! なに勝手なことを言ってやがるんだ!?」


「そうだそうだ! そいつらは俺達の獲物だぞ!」


「それを逃がそうって考えてるなら、容赦しねぇぞ!!」


このように自身に怒鳴ってきた盗賊団に対し、シオンは落ち着いた声で答える。


「あなた達がこのままなにもせずにこの場から離れていくと約束してくれるなら、私もあなた達を見逃してあげようと考えているのだけど、どうかな?」


「ふざけるな! これだけの人数に囲まれてるのになにが見逃すだ!」


「そうだ! さっさと離れるのはお前の方だ!」


「空を飛んでたってことは魔術師なんだろうが、それでもそう簡単に勝てると思うなよ!」


シオンの発言を聞いた盗賊団が、反発の言葉を次々と口にしていき、それぞれがナイフや剣、斧を持ち直して構えていく。

この様子を見たシオンは、商隊の人間達に大至急この場から離れるように伝えていった。


「あ、全員武器を構えた。これはまずいな。あの、皆さん、すぐに逃げてください」


「え? いや、君はどうするんだ?」


「私はここで盗賊団と戦います」


「え!? いや、君ひとりを残して逃げるのは……!?」


「大丈夫です。こう見えても私は強いんですよ。だから早く逃げてください」


自身の身を案じる商人達に、シオンはそんなことよりも早く逃げろと重ねて伝えたのである。

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