第34話 シオン、魔物退治に向かおうとする

シオンは報酬の受け取りを拒否すると続けて魔物達が終結している地点がどこかを村長達に尋ねていった。


「それで村長さん、魔物達はどこに集まっているんですか?」


「魔物の集結場所ですか、それについてはこちらのものが説明します」


「よろしくお願いします、シオン様」


「よろしくお願いします。それは説明の方を頼みます」


「わかりました」


村長に紹介された村人が前に出てきてシオンに魔物の集結地点がどこかを説明し始める。

その説明にシオンは熱心に耳を傾けた。


「魔物の群れが集まっていたのは、この村の北に林があるのですが、そこに集結していました」


「なるほど。集まっていた魔物の種類はわかりますか?」


「えーと、確か……いろんな種類のゴブリンとオーク、それからスモールウルフだったと思います……もしかしたら確認できていないだけで他にもいるかもしれませんが……」


「ふむ、最低でも三種類は集まっている、ということですか。わかりました、ありがとうございます」


村人の報告を聞いたシオンは村人にお礼の言葉を述べると、ラオレットに声を掛けていく。


「ラオ君、私は今から魔物退治に向かおうと思っているんだけど、ラオ君はどうする?」


「……僕ですか……もう夕方なので今日はもう止めておいた方が良いんじゃないかと思っている自分と、魔物がいつ襲ってくるかがわからないのですぐに討伐に向かった方が良いと思っている自分がいます……」


「ふふ、なるほどね、それじゃあやっぱりラオ君は村で待っている方が良さそうだね?」


「いや、僕はまだ……」


「駄目よ、ラオ君は今日初めて空を飛んだでしょ? 自分が思っている以上に疲れているはずだから早めに休んだ方が良いわ」


「う……」


「ラオ君、返事は?」


「……わかりました……」


「よし」


このやり取りでラオレットを村に置いていくことを確定させたシオンが村長達に魔物退治に出発すると話し掛ける。


「村長さん、皆さん、ラオ君のことをよろしく頼みます」


「わかりました、しっかりと休んでもらいます」


「お願いします」


「それでシオン様はどうなさるのですか?」


「私は魔物退治に向かいます」


シオンの発言に驚いた村長達は顔を見合せて一度頷くと、シオンに色々と尋ねていく。


「今から向かわれるのですか?」


「はい、そのつもりです」


「もう夕方ですよ?」


「わかっています。ですが先ほどラオ君と話した通り、魔物達がいつ襲撃してくるかがわかりません。ですから早いうちに退治しておかないと被害が大きくなりますから」


「それはそうですが……しかし……」


シオンの言葉に村長達は渋い表情で悩んでいった。

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