第36話 シオン、魔物の群れと戦う

すべての準備を終わらせたシオンが飛び立つ直前、村長達に魔物達の集結地点の最終確認を行う。


「村長さん、皆さん、最後になるのですが、魔物の群れが集結しているのは村の北にある林で間違いないのですね?」


「はい、そうです、シオン様」


「わかりました。ありがとうございます! では!」


村長達にお礼を伝えたシオンが箒を上昇させていく。

そうして十分な高度を確保したところで、全速力で目的地の林まで飛んでいった。


「北ってことだったけど……ああ、見つけた、あれか」


全速力で飛行すること約五分、目的地の林を見つけたシオンがそう呟くと全速力のままで高度を下げていき、そのまま魔物の群れに突っ込んでいく。


「ボス格は……あれですね、ハイオークコマンド。まずはハイオークコマンドから倒しましょうか」


シオンは最初の標的を下級魔物のなかでは上位ランクに位置するハイオークコマンドは定めると、目標に目掛けて最高速度のままで突撃した。

そうしてハイオークコマンドを箒の先端部で突き刺したシオンはこの状態のままで再度上昇していく。


「グ、グゲッ、グゲッ!?」


「捉えました。終わりです」


「グゲッ!?」


「シャイニング・ボルト」


シオンがそう言って魔法を使うと、ハイオークコマンドの周辺に無数の白い光が現れた。

その光が少しずつハイオークコマンドに集まっていき、すべての光がひとつになった瞬間、真っ白い無数の雷がハイオークコマンドの体を貫き、ハイオークコマンドは文字通り一瞬で灰になったのである。

そうしてハイオークコマンドを倒したシオンは地上、林のなかにいる残りの魔物達に攻撃を始めていく。


「林を焼き払うことは避けないといけないだろうから火属性魔法は使用不可能、そうなると魔物すべてを浮かせて風属性魔法で一掃しましょうか」


魔物達への攻撃手段をそう決めたシオンが重力反転魔法を発動させる。

こうして宙に浮かんだ魔物達にシオンは次の魔法を発動させた。


「いきます、サイクロン・ブレード」


この魔法が発動すると宙に浮かんだ魔物達を竜巻が飲み込んでいき、竜巻のなかで魔物達は風の刃斬り刻まれていった。

そうしてバラバラになった魔物達が次々と地面に落ちていき、片っ端から消滅していく。

こうしてシオンと魔物達との戦いはシオンの一方的な蹂躙で幕を閉じた、かに見えた。


「うん、これで終わったかな?」


いまだに消滅していない魔物はいるが消滅は時間の問題だと判断したシオンの目に、あるものが映る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る