第22話 シオン、ラオレットに呼び方を決めさせる

ラオレットの呼び方を決めたシオンが、今度はラオレットに自身の呼び方を決めさせていく。


「ラオ君の呼び方は決まったから、次はラオ君が私を呼ぶ時の呼び名を決めましょう」


「……そちらの方は今まで通り、シオン様で良いと思うのですが……」


「駄目だよ、ラオ君。こういうことは決められる時にしっかりと決めておかないと。いつか問題が起きた時に、あの時きちんと決めておけば良かったと後悔することになるよ?」


「……うーん……そこまで言われたらそうなのかな、という気にはなってくるんですが……」


シオンの呼び名を決めるという行為事態に抵抗感を見せるラオレットに対して、シオンは多少強引に話を進める。


「……ふぅ。ラオ君は嫌そうな顔をしているけど、私は必要なことだと思っているからこのまま話を進めさせてもらうわね?」


「……はい」


「うん、嫌々ながらの返事という感じで大変よろしい。それじゃあ案を出していくけれど、ラオ君は私のことを様付けで呼んでいるわよね」


強引に話を進めると言いながらも、ラオレットにきちんと確認を行って決めようとするシオンに、少しずつだがラオレットも乗り気になっていく。


「……そうですね。でもそうなると……すみません、シオンと呼び捨てになってしまう感じがすごく強いのですが……」


「呼び捨てだと緊張するかしら?」


「……そうですね、緊張します……」


「それでもなにかある度にシオン様と呼ぶのは疲れないかしら?」


「それは……そうかもしれないですけど」


「だけど呼び捨てにするのは緊張する、それなら今からしばらくの間はシオンさん、とさん付けにして、少しずつ砕けた呼び方にして慣らしていくという考えはどうでしょうか?」


「ああ、確かにそれなら僕もシオン様、じゃない、シオンさんのことを楽に呼べるようになっていくと思います」


「そしていつかは私を呼び捨てにできる時がくる、その可能性が生まれてきますね」


シオンが微笑みながら発した言葉に、ラオレットが苦笑いを浮かべて言葉を返す。


「……確かに、いつかはそうなると良いですねぇ」


「ええ、そうね。それじゃあ確認だけど、私はラオレット君のことをラオ君と呼ぶ、そしてラオ君は私のことを今はシオンさんと呼ぶ、これで良いわよね?」


ラオレットの言葉を聞いたシオンがラオレットに最終確認を行う。

これにラオレットが笑顔で頷くと、それを見たシオンが箒を取り出す。

そうして笑みを浮かべながらラオレットに手を差し出していった。

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