第10話 シオン、盗賊団を撃破する
盗賊団団長の操るマジシャンズブルームを完全に破壊したシオンは、破壊された機体から放り出された団長に対して、自身もマジシャンズブルームから降りると静かに歩み寄っていき、団長に話し掛けた。
「マジシャンズブルームも破壊しました。これで私の勝ちですね」
「くそっ、ちくしょう!! さっきも言ったが、高かったんだぞ、あれ!!」
「……失礼を承知で言わせてもらって良いのであれば……」
「あん?」
「あの機体はそれなりの魔術師がお金儲けのために大量生産した、いわゆる粗悪品ですよ?」
「……は? 粗悪品?」
「はい。間違いありません」
「な、なんで断言できる!?」
シオンの言葉を聞いた団長が半狂乱になりながら喚いていく。
これにシオンは丁寧に説明を始める。
「まずは空を飛べないこと。通常ならどんな機体でも、少しぐらいなら空を飛べます。それができないということは、ろくに魔力を込めていない証拠です」
「……う」
「それに粗悪品でないなら片手で片腕を握り潰す、ということはできないですし」
「……うう」
「そして最後になりますが、粗悪品でないのなら、私が呼び出した機体ともう少しは良い戦いができるはずだからです」
「……ん? それはどういうことだ?」
「だって私、そんなに魔力を込めてあの機体を呼び出していないですから」
「……ん? え? ……つまりそれはどういうことだ?」
「簡単に話しますと、全然本気で呼び出していない、ということです。本気で呼び出したらもっと高性能の機体を呼び出せますから」
「……ええ……」
シオンの説明を最後まで聞いた団長は、シオンのあまりの発言にドン引きする。
そうして完全に戦意を喪失した盗賊団に、シオンは今度こそ本当の最後通告を行う。
「それでは改めて告げますが、このままなにもしないで帰ってくれるのなら、王国にも騎士団にも通報しません。ですがまだ暴れるというのであれば、皆さんを血祭りにあげたあと、騎士団のところまで連行します」
「ひ、ひえっ!?」
「さぁ、どちらか選んでください。このまま帰って無事な日々を過ごすか、暴れることを選んでボコボコにされたあと、騎士団に引き渡されて処刑されるか」
「……う、あう……」
「……どちらにしますか?」
盗賊団を威圧しながらこのように尋ねたシオンに、盗賊団一同は恐怖に震えながら、それでも必死に答えていった。
「か、帰ります! 帰りますから、どうか命だけは……!」
「あ、あっしも帰りやす! ですから助けてくだせえ!!」
「お、俺も! 俺も帰る! だから見逃してくれ、この通りだ!」
シオンに対して土下座しながら懇願する盗賊団一同。
この盗賊団の姿を見たシオンは、盗賊団にもうひとつ提案を行う。
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