第11話 シオン、盗賊団を解散させる。

「今の提案を受け入れてくださるのなら、もうひとつ提案したいことがあるのですが、聞いていただけますか?」


「……提案したいこと?」


「まあ内容によるとは思うが……」


「とりあえず話してみてくれますか?」


シオンの問い掛けに不思議そうな表情で答えていく盗賊団メンバー達に、シオンが提案を行う。


「それじゃあ提案していきますけど、皆さん、もうこのまま盗賊稼業を完全にやめて普通の仕事をして暮らしていく、というのはいかがでしょうか?」

「……盗賊団を解散させようとしてるのか?」


「そのように考えてもらって大丈夫です。それでどうでしょうか? 賛成していただけますか?」


「……皆どうする?」


「……う、う~ん……」


「盗賊をやめるのはまあ……反対ではないんだけど……」


「ああ、仲間と離れることになっちまうのはちょっと……なあ?」


「そうですね……」


シオンの『盗賊団を解散してみては?』という提案に、解散すること自体には反対ではないものの、仲間達と別れることに対しての抵抗感から返答に困る盗賊団メンバーにシオンが更に言葉を重ねる。


「皆さん勘違いをしていますけど、私は皆さんに別れろとは一言も話していませんよ?」


「……え? それじゃあ……?」


「はい。盗賊団を解散させたあと、皆さんはバラバラにならなくても大丈夫ですよ」


「おお、やった!」


「それなら安心して盗賊をやめられるっすね!」


「ああ、そうだな!」


シオンの発言を聞いた盗賊団一同は嬉しそうに話し合う。

そんな彼らにシオンが話し掛けていき、話し掛けられた盗賊団はシオンに次の質問を行った。


「……皆さん、これでもう大丈夫ですか? それともなにか聞きたいことがありますか?」


「……あ、それならもうひとつ良いですか?」


「はい、大丈夫ですよ。なんですか?」


「盗賊をやめたらどうやって生活していけば良いんですかね……?」


「……ああ、その問題ですか。うーん、そうですねぇ……皆さんは戦えますし……そうだ、王国軍の兵士になるというのはどうでしょうか?」


「王国の兵士ねぇ……前に断られたからなぁ……」


シオンの提案にそう言って難色を示す盗賊団に、シオンがあることを申し出、行動に移す。


「それなら私が一筆書きましょう。そうすれば簡単に採用されるはずですから」


「……そんな紙切れ一枚でどうにかなるのかよ?」


「問題ありません。特に王様に見てもらうことができたら一発ですよ」


「はあ……」


自身満々に話すシオンに対し、盗賊団一同は半信半疑といった表情でシオンが書いた紙を眺めた。

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