第16話 シオン、同行者を得る
団長の説明を聞いたシオンは軽く頷きながら団長に言葉を返していく。
「ああ、そういう事情があったのですね。そうとは知らずに無用な疑いを掛けてしまい申し訳ありませんでした」
「いえ、なにも事情がわかっていない方が見ればそのような考えになるのも無理はないと思います。ですから謝られなくても大丈夫ですよ」
「そう仰っていただけるなら私も助かります」
シオンの謝罪に恐縮しながら返事を行う団長にラオレットが恐る恐る話し掛ける。
「あの、団長、ちょっと話したいことが……あるんですけど……」
「……なんとなく想像はできるがな。まあ話してみろ」
「あ、はい……実は……少しお願いしたいことが……できまして……」
「……それはもしかするのだが、シオン様の旅についていきたい、とかか?」
「え、あ、そう……です。許してもらえますか?」
「……それを最初に聞くのは俺達ではなく、シオン様だと思うんだがな?」
「う……」
自身のお願いに対しての団長の返答に、言葉に詰まるラオレットにシオンが声を掛けていく。
「私の旅は一応目的地なし、三年から四年の間世界各国の情報収集というものになるのですけど、それでも良ければ同行してもらうことを拒否しませんが、どうですか?」
「……え!? 同行しても良いんですか!?」
「過酷な旅になるのは多分確実だから、それに耐える覚悟があるのなら、という条件がつきますが」
「は、はい、覚悟はあります!! どれだけ過酷な旅になっても弱音を吐かずについていきます!!」
シオンから覚悟があれば同行しても良い、そう言われたラオレットは半狂乱になりながらシオンに答え、続けて団長に尋ねる。
「団長!! シオン様から同行許可がでました!! 団長達はいかがでしょうか!?」
「……そうだな……親父さんからも頼まれてるからな……認めてやるよ」
「あ、ありがとうございます、団長!!」
「俺だけじゃなく、団員にも挨拶をしろよ?」
「は、はい、行ってきます!!」
団長に感謝の言葉を伝え、団長の言葉を受けて団員達の元に向かうラオレットを見送りながらシオンが団長に問い掛けた。
「……あのぅ、団長さん、親父さんから頼まれているとはなんなのでしょうか?」
「そのことですか、実はというかなんというか、ラオレットの親父さんはこの傭兵団の副団長をしてくれていた人だったのです」
「……だった、という過去形なのは……つまり……」
「はい、親父さんは以前受けた護衛任務の最中に戦死しました」
団長はここまで話して説明すると、辛そうに目を伏せた。
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