第15話 シオン、懐かれる

商隊の一同が城に向けての旅を再開させる、そう発言したことを確認したシオンも旅を再開させると商人達に伝えていく。

そんなシオンにひとりの少年が声を掛けてきた。


「皆さん出発されるのですね?」


「はい、そうしようと思います」


「それは良かった。それでは私も出発しようと思います」


「そうですか……お気をつけて、とはシオン様には無用なお声掛けですかな?」


「ふふ、そうかもしれませんね。それでは……」


「待ってください!」


「うん? どうしたの、君?」


「あの……僕も連れていってください!」


「……え?」


少年の急な申し出にシオンはすぐに返事ができず、一音だけ発すると困惑気味の表情で商隊のまとめ役に助言を求める。


「……あの、こんなことを言われたのですが、よろしいのですか? 勝手なことを言って怒られたりなどは……?」


「そうだぞ、ラオレット君。シオン様に申し出るにしてもきちんと団長達に相談してからでないと」


「……うん? ちょっと待ってください、この子は商隊の一員ではないのですか?」


まとめ役の発言から少年が商隊のメンバーではないかもしれないと感じたシオンに、まとめ役が少年の立場を説明し始めた。


「そうです、この子は、ラオレット君は商隊の一員ではないのです」


「それではなぜ彼は、ラオレット君は商隊に参加しているのですか?」


「ラオレット君は今回我々が護衛として雇った傭兵団の一員なのですよ」


「その通りです」


まとめ役がラオレットの立場を説明しているとまとめ役が話した傭兵団の団長がこの話し合いに参加してくる。


「あ、団長さん!」


「団長殿、お疲れ様です」


「お疲れ様です。大丈夫だったようで安心しましたよ」


「いやいや、危ないところでした。シオン様が来てくださらなかったらどうなっていたか……考えるのも恐ろしい……」


「そうでしたか……どうもありがとうございました、シオン様」


まとめ役の話を聞いた団長がシオンに対して感謝の言葉を伝えながら頭を下げてくる。

そんな団長にシオンはある疑問をぶつけた。


「……あの、団長さん、つかぬことをお尋ねしますが、商隊の皆さんが盗賊団に襲われていた時、傭兵団の皆さんはなにをしていたのですか?」


「そのことですか。我々が盗賊団と繋がっているのではないかと疑っていますね?」


「……まあそうです。少し動きが怪しいかなと思いまして……」


「確かにあの状況では我々のことを疑っても仕方がないと思います。ですが我々はあの時、商隊の最後方でゴブリンの群れと戦闘中だったのです」


団長はそういうと居心地が悪そうに頭を掻いていった。

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