第13話 シオン、商隊と話す

シオンの様子を見た商隊のまとめ役は、シオンに恐る恐る尋ねていく。


「……あの、少しお伺いしてもよろしいですか?」


「うん? あ、はい、大丈夫ですけど、なんでしょうか?」


「……あの盗賊団は……本当に大丈夫なのでしょうか……?」


「……うーん……多分大丈夫だと思うんですけど……」


「……大丈夫ではなかった時はどうなるのでしょうか……?」


「その時はまぁ……騎士団がなんとかしてくれると思います。そう信じましょう」


「ええ……」


シオンの発言を聞いた商隊の一同が引くなか、シオンはあることに気付いて商人達に質問する。


「……あれ? そういえば今回、騎士団は動かなかったんですか?」


「ああ、そのことですか。確か今日はお城でなにか重大な発表があるとかでだいたいの団員がお城に戻っているとかで、そもそも人手がなかったらしいですよ」


商人からこう答えられたシオンは、頭を抱えて呻いていった。


「……そうだった、そういえばあの場に騎士団の人達も大勢いたんだった……話を聞いてようやく思い出した……」


「……あ、あの、大丈夫ですか?」


「……大丈夫です。ちょっと頭痛がしただけですから……」


「そ、そうですか」


自身の返答を聞いてシオンがしたリアクションに商人達が焦り始めたところで、シオンが商人達にことの詳細を説明し始める。


「とりあえず皆様には謝らなければいけませんね。この度は誠に申し訳ないことをしてしまいました。どうかお許しください」


「ええ!? ちょっと、頭を上げてください、魔術師殿!」


「そうです! なぜ命の恩人のあなたが我々に謝るのですか!?」


「……実を言いますと騎士団の方々やその他大勢の方々がお城に集められたのは私のせいなのです」


「……え? それはどういうことで……?」


「……まさか……なにかやらかしたんですか?」


「いえ、違います。私が働き過ぎだと陛下や他の皆様からお叱りを受けまして、その場で強制的に長期の休暇をとらされたのです」


「……はあ?」


「……なるほど?」


自身の説明を聞いた商人達がなんとも言えない表情で返事をしてきたことで、シオンはもう少し詳しい説明をすることにした。


「やっぱりそういう反応になりますよねぇ……」


「も、申し訳ありません……」


「いえ、良いのです。やはりもう少し詳しく説明しなければなりませんね」


「……はい、お願いします」


「それでは……と、その前に」


「うん? なんでしょうか?」


「まだ自己紹介をしていませんでしたね。まずは自己紹介から始めさせてください」


シオンはそういうと商人達に頭を下げていった。

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