第8話 シオン、盗賊団団長と対峙する
「さて、これで残ったのはあなただけになりましたね」
盗賊団の下っ端六人をあっさりと倒したシオンは、残った盗賊団団長にそう告げる。
この発言を聞いた団長が怒りながら部下達に激しい言葉を浴びせていく。
「なにやってんだ、てめえら!! あんな小娘ひとりに六人で仕掛けてあっという間にやられるとか、情けねえとは思わねえのか!?」
「か、頭、そうは言いますが、この小娘、化け物ですぜ……」
「そ、そうですお頭……早いとこ逃げた方が……」
団長の発言になんとか反論しつつ、すぐに逃げるように説得しようとした部下達だったが、団長は部下達の進言を即座に却下した。
「馬鹿野郎!! このまま逃げ帰ったらなんのために商隊を襲撃したのかわからねえだろうが!!」
「で、ですがお頭……!」
「それにてめえら! 喋る元気があるならその小娘に向かっていけってんだ!!」
「う、うう……」
この理不尽ともいえる盗賊団のやり取りを見ていたシオンが、少し悩みながら盗賊団の団員達に話し掛ける。
「……あの、ちょっと良いですか?」
「ひっ!? は、はい、なんでしょうか!?」
「あ、いえ、少し話したいことがあるんですけど、大丈夫でしょうか?」
「……大丈夫です。それでなんでしょうか?」
「おい、てめえ!?」
シオンに話し掛けられた団員は、背後にいる団長をチラ見しながらシオンの問い掛けに答えていく。
「いえ、このままなにもしないで帰ってくれるのなら私もこれ以上は手を出さずにいますし、国や騎士団にも通報しないと約束します。いかがでしょうか?」
「へ!? マジですか!?」
「マジです……どうでしょうか?」
「お、お頭! すぐに逃げやしょう! 今なら見逃してくれるそうですし!」
シオンの言葉を聞いた団員が物凄い勢いで団長に撤退しようと進言する。
しかし団長は団員の進言をすぐに却下して、団員達やシオンに戦闘を続けると宣言した。
「ふざけんな!!!!」
「ひっ、ひいっ!?」
「なにが撤退だ! このままなんの成果もなしに撤退なんてできるかよ!!」
「お、お頭……ですが……」
「やかましい!! こうなったら秘密兵器を使ってやる!」
「お、お頭!? マジですかい!?」
「……うん? 秘密兵器?」
団長の発言に団員達が動揺し、シオンの脳内に疑問符が乱舞するなか、団長は秘密兵器を取り出した。
「出ろ! マジシャンズブルーム、マシュー!!」
団長がそう叫び、持っていた宝石を地面に投げつけると、その宝石から巨大ロボットが出現する。
「はっはっは!! いくぞ小娘!!」
「お、お頭……」
団長は呼び出した巨大ロボット、マジシャンズブルーム、マシューに乗り込むとシオンに攻撃し始める。
その光景に団員達がドン引くなか、シオンは冷静に箒を取り出すと、一旦空に退避した。
「ふむ、マジシャンズブルームを持っていたのか」
「ちっ! おい、卑怯だぞ小娘! 降りてきて戦え!」
「人間相手にマジシャンズブルームを使うやつに卑怯って言われたくないなぁ……」
「うるせぇぞ化け物!!」
「……まあいいや、そっちが使ったんだからこっちも使おっと」
「……え?」
シオンの発言に盗賊団全員が呆然としたところで、シオンがマジシャンズブルームを呼び出していく。
「出でよマジシャンズブルーム、シオンオリジン!」
シオンをそう叫びながら魔方陣を描いていき、その魔方陣を描き終えたと同時にシオンのマジシャンズブルームが姿を現した。
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