第32話 地味ダサ女は私の美貌を見て絶叫してくれました

アクセリとの二人きりのなんとも言えない空間で食事を終えて、私は早速に私から王子様を取り上げてくれて、絶好調に浮かれている地味ダサ女にショックを与えるために言いに行こうとしたのだ。


「ライラ嬢、もう帰るのか」

そこで残念そうなアクせりの声がするんだけど。


「すみません。アクセリ様。少しやり残したことを思い出しまして」

「そうか、それはとても残念だな。ライラ嬢の力を持ってすれば後少しで終わるんだが……」

いかにも残念そうにアクセリは言ってくるんだけど……

いやいや、私は地味ダサ女に最後の鉄槌を下すためにいかないといけないのだ。


でも、私はアクセリの困ったような視線に負けてしまったのだ。



そして、地味ダサ女が訪ねてきた時、私は必死にアクセリから分けられた仕事をしていたのだ。


「何!」

私はノックしてきた地味ダサ女を睨みつけたのだ。

地味ダサ女に鉄槌を下す予定が、それどころではないほど忙しくて、めちゃくちゃ不機嫌に対応してしまった。


「えっ、いや、ライラが元気かなって」

流石の傍若無人の地味ダサ女もビビったみたいだ。


「元気なわけ無いでしょ。今、忙しいんだけど」

ムッとして私は言った。元々こいつが余計な子爵令息に捕まってしまったから、絡みたくないのにアクセリと絡むことになったのだ。すべての元凶はこいつだ。


「いや、それなら」

逃げようとする地味ダサ女に

「良いわ。私もあなたに話すことがあるから、2時間後に渡り廊下で、良いわね!」

私は有無を言わせぬ声で確認していたのだ。

「はい」

思わず地味ダサ女は頷いてくれた。


私はめちゃくちゃ不機嫌だったので、その地味ダサ女の目の前で思いっきり扉を閉めてやったのだ。


アクセリからの宿題は莫大にあった。 計算違いをしていないか計算してほしいという話だったのだけど、これって領地の収支じゃないのか? 全く生徒会と関係ないみたいなんだけど。

そう、書類を見てアクセリに言ったら、


「いやあ、さすが、ライラ嬢、良くわかったね」

って感心されたんだけど、いやいや、感心されても仕方がない。


「それよりも、何故私がこんな事しなくてはいけないんですか?」

私が聞くと


「いやあ、私の領地の使用人たちが結託して横領しているみたいなんだ。なんとかして不正を見つけたいと思っているのだが、なかなか見つけられなくて。ライラ嬢の素晴らしい頭脳なら見つけてくれるかなと期待したのだが……」

アクセリは期待した瞳で言ってくれるのたが、なんで私がアクセリの領地のことをやってやらねばいけないのだ。できるだけ絡みたくないのに。監禁バッドエンドは嫌だ。


「もちろん、ただとは言わない。うまく行けばこれから我が侯爵領とハナミ商会の取引量を増やすように父に進言しようと思うのだが」

「判りました。やります」

私は即決した。


アクセリのトウロネン侯爵領は規模も大きく、取引増大を狙う商会も大きいのだが、なかなか我が商会は入り込めていなかったのだ。それが入り込めるならば安いものだ。

私は安請け合いしてしまったのだ。


しかし、アクセリからもらった資料のデータは想像以上に莫大にあったのだ。

こんなの数日かかっても到底終わらないほどの量なのだ。


そこを、必死に検算してなんとか、不正らしきものを見つけたのは奇跡的に2時間後だった。


「あっ、約束の時間だ」

私は時計を見て慌てて立ち上がって、机の本棚に思わず、顔を打ち付けてしまったのだ。


「痛い!」

でも叫んでいる暇はなかった。


すぐに行かないと地味ダサ女のことだからさっさと帰りかねない。


私は慌てて行ったのだ。



でも、真っ暗な渡り廊下には誰もいなかった。


その日は月も出てなく暗闇だ。


くそっ、一足遅かったか、私はアクセリからもらった資料にのめり込みすぎたことを後悔した。


今の最優先事項は地味ダサ女にショックを与えて立ち上がらせなくすることなのに……


その時だ。

「ライラ、どこ?」

蚊の哭きそうな地味ダサ女の声が聞こえたのだ。


「ライラ、隠れていないで出てきてよ」


「いないの?」

おっかなびっくりで周りを見ている地味ダサ女がいた。


こいつは何を怯えているんだ。ひょっとしておばけが怖いのか?


お化けを怖がるなんて、お前が鏡を見たほうが余程怖いはずだと言ってやりたかったが……


ここは脅してやるに限ると、いきなりドンと後ろからぶつかってやったのだ。


「えっ」

慌てて後ろを振り返った地味ダサ女は


「ギャーーーーー」

こいつは許せないことに私のこの世に類稀な美貌を見て、この世の終わりのような学園中に響き渡る悲鳴を上げてくれたのだった。

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ここまで読んで頂いて有難うございます。

この話の地味ダサ女主人公の

『転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて恋してしまいました。』

https://kakuyomu.jp/works/16817330668268458339

絶好調更新中です。


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