第19話地味ダサ女の帝国語の宿題が原因で喧嘩したら、地味ダサ女は王子様と仲良くなってしまいました
本日3話目です
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私は取り敢えず、マイラと王子様の関係を父に伝えて調べてもらうことにした。
ゲームでは第一王子とマイラは、アスモとマイラの二人の間程は親しくなかったはずなのに。
地味ダサ女をマイラと間違うなんて、いくら寝ぼけてもあり得ないんはずだ。
それにしても地味ダサ女め、私がいないうちに、王子様と図書館で会うなんて、信じられなかった。人よけの魔法がかけられていて普通はその場所は中々近付けないはずなのに。その中で王子様を見つけるなんて本当に信じられなかった。
地味ダサ女は風魔法のクラスで全然出来なくて、ヴィルタネンに馬鹿にされまくったそうだ。ざまあみろだ!
切れたヨーナスとアハティがヴィルタネンのカツラを飛ばして、地味ダサ女までレポートを書かされていたのには笑えた。
更に歴史の時間に爆睡した地味ダサ女は10枚のレポートが追加されていた。
「今のはあんたの自業自得よ」
私は冷たく言ってやった。
「だって昨日は朝方までかかってウィル様にお手紙書いていたのよ」
「ウィル様って、あんたの初恋の人でしょ。どこの誰か判ったの?」
私は呆れて聞いてやったが、
「そうなの。会長の知り合いなんだって」
地味ダサ女が言うんだけど。
「えっ、殿下の? でも最初は知らないって言われたんでしょ。生徒会のアスモ様も知らないっておっしゃっていたのに。本当なの?」
「昨日の適性検査の時に言われたの。あんまり公にできないから会わせられないけれど、手紙くらい届けてやるって」
「そうなんだ」
確かゲームにはそんな奴はいなかったはずだ。
まあこんな地味ダサ女を助ける男なんてモブにもならない男に違いないけれど。
ちょっと私も調べてみようと思った。
そして昼休み、私はさっさと食事を終えると地味ダサ女から離れて、私の王子様を探した。
普通、王子様は生徒会室か、執務室にいるのだ。
でも、その両方とも私では入りにくい。
生徒会室の前で王子様が出てくるのを待とうとしていたら、なんと中からアクセリが出てきたんだけど。
私を胡散臭そうに見ている。
嘘っ、こんなところでアクセリに会う場面なんて無かったはずだ。
「君は何か生徒会に用か?」
不審そうに聞いてきた。
「ニーナの友人のライラですが、ニーナは来ていますか?」
慌てて、私は聞いてみた。
「ああ、君がハナミ商会の娘のライラ嬢か。ニーナ嬢は来ていないが」
納得してアクセリ様は話してくれた。
「そうですか。 有難うございます」
私はさっさとアクセリから逃げようとしたのだ。
「ちょっと待ち給え。ライラ嬢」
「はい、何でしょうか?」
私はぎくりと立ち止まった。
失敗した。絶対にドツボを踏んだと私は唖然とした。
「君は方向音痴だったよな」
「いえ、そのようなことはありません」
私は必死に否定した。
「そうだったか? 確か、入学式の時に迷っていたような気がしたが」
そう言えばそうだった。私は青くなった。
「あの時は時間に遅刻すると少し動揺していたんです」
私は慌てて誤魔化した。
「そうか、でも、そちらも生徒会室の裏でなにもないぞ」
「す、すみません。そうでした」
私は慌てて校舎の方に向きを変えた。
生徒会室の裏でも、良く王子様はサボっていたので、そちらにいるかなと思ったんだっけど、そう言われると行くわけにはいかなかった。
結局私は王子様を時間内に探すことは出来なかったのだ。
でも、その校舎の前で何と王子様と地味ダサ女が仲良さそうに話していたのだ。
どういう事なのよ! 私は完全に頭に血が上ってしまった。
その次の帝国語の授業で
「ミス、ニーナ、What is your favorite subject?」
帝国語の教師が地味ダサ女を当てた。
簡単な帝国語だ。前世の記憶のある私には楽勝だったが、地味ダサ女は違ったみたいだ。
「はい?」
「What is your favorite subject?」
「ええと……」
「うーん、もう良いです。立っていなさい。次は ライラ」
「It's English.」
「Very good!」
先生は私の答えに満面の笑みを浮かべた。
それから地味ダサ女は徹底的に教師に虐められたのだ。
ざまあみろだ! 私は大いに溜飲が下がった。
その上、自分の自己紹介文をレポート一枚に書いてそれを10枚複写して提出しろという宿題まで食らっていた。
本当にいい気味だった。
「どうしよう? ライラ、なんとか助けて」
地味ダサ女は私に頭を下げてきたのだ。そんなのか待ってやる道理はない。
「ええええ! だってあんた昼休みもさっさとどっか行っちゃうし、私ばっかり何かやらされていない」
何しろ私の王子様と楽しそうに話していたのだ。私は許す気はなかった。
「そんな事無いわよ。次はライラの言う事聞くから。何なら使い走りとか私得意だからお願いします。ライラ様」
地味ダサ女は私に頭を下げてきた。
「仕方ないわね」
私は許したくなかったが、そこまでへりくだられると多少は手伝う気になったのだ。
「『私はニーナ・イナリです。出身は田舎のサアリスケ男爵領で、その地にはキーキー鳴く猿がたくさんいます。私みたいな』ってちょっとライラ酷くない!」
なんと、地味ダサ女は私の書いたレポートにケチを付けてきたのだ。せっかく私が書いた面白い文章を!
「ええええ! あなた読めるの?」
私は驚いた。折角帝国語の授業で皆で笑ってやろうと思ったのに!
「そらあ、読むくらい出来るわよ。時間をかければ」
「『私の一番の親友はライラで、彼女は天才です。
顔も美人だし、頭も良くて私は絶対に叶いません。そんな彼女の言う事は全て聞こうと思います』って、確かに言うことを聞くって言ったけれど、これは酷くない!」
こいつ言うことが多い。
私の我慢も限界だった。
王子様と私を差し置いて仲良くした地味ダサ女のために、何故私が貴重な時間を潰してやらなければならないのだ。
「ニーナ、私は貴重な時間をあなたのために使ってあげているのよ。そんなに言うなら自分でやりなさいよ」
私は見捨てることにしたのだ。
「えっ、いや、ちょっと」
地味ダサ女は慌てたみたいだが、もう遅いのだ。
帝国語の授業でまた虐められたら良いのだ。
私は完全に切れてしまった。
でもこれは間違いだった。
私が冷たくしたおかげで、地味ダサ女は、私の王子様に泣き込んでくれた。
そう、私が意地悪したおかげて、この二人の仲がますます親密になってしまったのだった。
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ここまで読んで頂いて有難うございます。
次の更新予定は明朝です。
お楽しみに
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