第31話 氷の貴公子との会話で地味ダサ女を失恋させる方法を思いつきました

私は翌日も疲労困憊のまま授業に出た。

そもそもなんであんな報告書くらいまともに出来ないのよ!


皆私を見て喜んで手伝ってくれたが、私としては私が帰ってくる前に全て終わらせてほしかった。


というか、アクセリなら絶対にできたはずなのに……なんでやっていなかったのよ!

これは私に対する新手の嫌がらせか?


私は言いたいことが色々あった。


授業で久々に見た地味ダサ女はムカつくことにとても元気そうだった。


時々私の王子様と仲良くしているみたいだ。本当にムカつく!


それに比べて、私は昼休みも仕事が終わっていなくて、生徒会室でアクセリと仕事しながら食べることになったし、なんでこうなるのよ!


片や平民の地味ダサ女は私の王子様とイチャイチャしながら食べて、片やお貴族様でこのゲームのヒロインの私はロマンスのロもない、この陰険アクセリと仕事だ。


私の青春を返せと私は地味ダサ女に叫びたかった。


あの女、絶対に転生者だ。馬鹿なふりして私からゲームのヒロインの座をまんまと奪ってくれたのだ。


私としては絶対に許せなかった。


でも、もうあの女は聖女になってしまったのだ。


私の一発逆転を狙った手があの地味ダサ女に奪われてしまったのだ。


私にはもう手が残っていなかった。


そんな私にアクセリが聞いてくれたのだ。


「ライラ嬢、あなたはマイラ様のことを知っていますか?」

いきなりなんだ? 王子様の想い人だ。もうすぐ死ぬけれど。


「ええ、マイラ・カンガサラ侯爵令嬢ですよね。殿下が好意を持っておられたという」

私は取り敢えず当たり障りのないことを話してみた。


「そうなのです。元々マイラ様が殿下にご嫉心だったのですが、あのような病気にかかられて、今は領地で療養していらっしゃるのですが、侯爵閣下からもなにか良い手が無いかと聞かれているのですが、ハナミ商会としてなにかいい薬などご存知ないですか」

「肺病に効く薬ですか?」

私も色々調べてみたが、今この世界にはその薬はないのだ。


「はい、そうです。幅広くお取引していらっしゃるハナミ商会なら何かあるかなと思ったのですが」

アクセリは言ってくれるが、アクセリの頭なら我が商会に特効薬がないことくらい知っているはずだ。


「申し訳ないですが、そのような薬は効いたこともありません」

私はそう答えるしかなかった。


「そうですか。やはり治せるのは伝説の聖女様くらいですかね」

アクセリが何食わぬ顔で話すが、


「伝説の聖女様ですか?」

伝説の聖女ならばなんとかなるかもしれないが、そう言えば地味ダサ女は聖女になったはずだ。ヒールも使える。前世の記憶のある聖女ならば肺病を治せるかもしれない。


私は閃いたのだ。


考えたらニーナはヒールを使えた。私から奪った形だが。普通はヒールは病気には効かない。

おそらく聖女が病気の仕組みを理解していないからだと思うのだが。

でも、地味ダサ女はおそらく転生者だ。それなら免疫の仕組みも理解しているかもしれない。

肺病の病原菌を退治することが出来るかもしれないのだ。

そう、前世の記憶のある地味ダサ女なら、病にもヒールが効くかもしれない。


そうか、その手があったのだ。


元々王子様はマイラが好きだったはずだ。

それにマイラも。

マイラが地味ダサ女のヒールで治ったらあの二人は再びくっつくのではないだろうか?


私は王子様と地味ダサ女がくっついて失恋した。

でも、あの二人がくっつけば地味ダサ女も失恋するのだ。

そうなれぱ私からヒロインの座を奪った地味ダサ女も失恋するしか無いのだ。


私は失恋の痛手に泣いていたのだが、あの笑っていた地味ダサ女も失意のどん底に沈むのだ。


ふふふふ、今に見ていろ。


私は笑いが止まらなくなった。

私は早速、地味ダサ女に伝えることにしたのだ。

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