第38話 地味ダサ女と悪役令嬢を共倒れさせようと考えていたら逆に襲われました

それからが大変だった。


私はアクセリのサデニエミ公爵家に対しての陰謀に完全に巻き込まれたのだ。


サデニエミ公爵家は建国の始祖の王弟が独立して起こした公爵家で、その地位は国王陛下に次いで高かった。

王家と公爵家は、それから何代も血の繋がりがあって現公爵夫人は前前陛下の娘で今の陛下とはいとこに当たる。前前国王陛下の子供は王太子だった息子と公爵夫人の二人しかおらず、王太子が若くして亡くなったので、前前陛下の弟が即位したのだ。


女に継承権があれば公爵夫人が王位についたのだ、というのが公爵の言い分らしい。

我が公爵家が王家を継いだのだと。


そうした見方をするからか、サデニエミ公爵は王家に対して少し傲慢な態度を取ることも多かったらしい。今回のダンジョンでの襲撃もアクセリの言によると公爵家が絡んでいる可能性が大きいとのことだった。



でも私はそれどころではなかった。


翌日、王子様とカーリナが帰って来たんだけど、なんとあの地味ダサ女がマイラの病気を治してしまったと教えてくれたのだ。


嘘だ。あの地味ダサ女があんな訳の分からない呪文でマイラの病気を治したなんて、私には信じられなかった。


それが事実ならば、あの地味ダサ女は伝説の大聖女ミンミ様と同じになったという事で、そうなれば王子様の隣に立つのも全然問題なくなる訳なのだ。


そんな馬鹿な! マイラ様の病を治せなくて大恥をかいて戻ってくると思ったのに……。


そうしたら、私の王子様との仲をかき回して、美貌の私の元に王子様が来るように、仕向けようと思っていたのに……


何しろあの地味ダサ女の前には、聖女くらいでは諦めない悪役令嬢がいるのだ。その親の公爵も。

これからますます嫌がらせをして、地味ダサ女を排除しようとしただろう。

その隙をついて、地味ダサ女も悪役令嬢も排除しようと思ったのに……


あの地味ダサ女が大聖女になったんじゃ、もう、どうしようもないじゃない。


確か、前の大聖女様のミンミ様も平民出身だったが、王子殿下の配偶者になったはずだ。

さすがの悪役令嬢も大聖女様にまでは手を出してこないだろう……



いや待てよ、あの我儘な悪役令嬢ならば、大聖女にも手を出すかもしれない。

後ろには傲慢公爵も付いているし……


公爵家の力があれば、大聖女となった地味ださ女を始末するのも可能かもしれない。


その後は悪だくみの得意なアクセリを使って、公爵家を処分すれば私にも可能性が出てくる。


そう、あの悪役令嬢に地味ダサ女を始末させて、その後に王子様の隣に私が座れば良いのだ。


何しろ、私はこのゲームのヒロイン、この世界一の美貌を誇っているのだ。頭脳も明晰、貴族社会のドロドロした人間関係も良く判っている。あんな田舎者で平民の地味ダサ女に比べれば余程、王妃としてふさわしいだろう。


色々紆余曲折があったが、これでこのゲームのヒロインの私と王子様が結ばれるのだ。

なんて素晴らしいんだろう!

これでこそ、私がこのゲームの世界に転生してきた甲斐があったというものだ。今まで苦労して魔術を伸ばし、王妃教育を自分に課してきた苦労が結ばれるのだ。


私は私の王子様と一緒にバージンロードを歩いて二人は永久の愛を誓うのだ。


私がそう想像していた時だ。


突如として私が乗った馬車が止まったのだ。


そして、ガチャンと音がしてガラスが飛んできたものに割られた。


次の瞬間にはぶすりと音がして体に痛みが走った。


私は一瞬何が起こったか全く判らなかった。


私は胸を見るとそこには矢が深々と突き刺さっていたのだった。

******************************************************************

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

この話も後少しで完結の予定です。


また、私の初書籍『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』

https://www.regina-books.com/lineup/detail/1056603/9532


皆様方の応援のお陰で全国の書店様で大好評販売中です。

まだの方はぜひとも読んで頂けたら嬉しいです!


また、新作

『聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラ物語』

https://kakuyomu.jp/works/16817330669105446128

始めました。

こちらも面白いとおすすめです。是非ともお読み下さい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る