第23話 私は侯爵令息のあくどい罠にハマって書記に任命されてしまいました

私は馬鹿な地味ダサ女をうまく使って、王子様と親しくなろうとした。


ゲームをしていく中で、攻略対象の好感度を上げていくのはゲームの最重要項目なのだ。


今は王子様に対しては、地味ダサ女に負けているが、ここから逆転するのはまだ可能なのだ。


入学式の王子様との出会いは無く、その後の図書館での出会いは地味ダサ女に取られて、二人の散策デートも私が必死にアクセリの雑用されられている間に、地味ダサ女に取られた。


私は今は本当に崖っぷちだ。


でも、好感度さえ上げておけば、ダンジョン体験で傷ついた王子様にヒールをかけて助けることで、一発逆転も可能なのだ。


私は今この時、どう見ても顔貌そっくりなウィルと第一王子殿下が別者だと思っている愚かな地味ダサ女を利用して、最大限私への王子様の好感度をあげようと考えたのだ。


その考えに基づいて、私はまた地味ダサ女らと食事を食べることにしたのだ。


食べながら折に触れて地味ダサ女に王子様との仲をとりもってもらうように依頼するのだ。さすがに図太く他者に気を使わない地味ダサ女でも、何回も頼まれればやってくれるだろうと私は考えていたのだ。



「今日のホームルームって何をやるの?」

地味ダサ女は相変わらず、何も知らない。今日は今後王子様と仲良くなるために必要なイベントがあるのに。


「今日はクラス委員決めでしょ」

私は教えてやったのだ。

「ふーん、そうなんだ」

地味ダサ女はその重要性が全然判っていなかった


「花壇に水やり係とかあったら、やってもいいかな」

「何だよ。それ? 小さな子供がお母さんのお手伝いを初めてするみたいなそんな係あるわけ無いだろう」

ヨーナスに一蹴され、

「学園の花壇の水やりは普通は庭師がやってくれるだろ」

「それに、園芸は園芸部があるからそっちでやるわよ」

「なんか、ニーナって本当になんにも読んでないよね」

私達に完全に馬鹿にされていた。


「そこまで言う必要ないじゃない」

「少しは学園案内とか読めよ」

「部屋においてあっただろう」

「もう、何言っているのよ。ニーナがそんな物読むわけ無いじゃない」

「そらそうだね」

「……」

四人で一斉に地味ダサ女を貶めていた。


「決めるのはクラス委員長と副委員長、それと生徒会と生活委員それに体育委員よ」

「ふうーーん、そうなんだ」

「生活委員なら私でも出来るかな」

なんか地味ダサ女は絶対にありえないことを言っているんだけど。


遅刻の常連の地味ダサ女が生活委員なんて出来るわけはないではないか。


クラスの正副委員長なんてなんてどうでも良かったが、地味ダサ女が委員長に就任することになったのはご愛嬌だろう。


そして、本命の生徒会委員だ。


「はいっ」

当然私はこれに立候補したのだ。


見目麗しく弁の立つ私の前に誰一人対抗馬は現れなかった。


私は当然のごとく生徒会委員に就任したのだ。


そう、この委員に付くことで、生徒会室に出入りできるようになり、生徒会長である王子様と親しくなれるのだ。


地味ダサ女が後で知っても、その時は私と王子様が仲良くなった後なのだ。絶対に!




その日の放課後、私は嬉々として生徒会室にでかけた。


今日は生徒会の初めの全体での顔合わせだ。


当然会長の王子様はいるはずだった。


まあ、私の懸念材料はそこで、先日雑用をさせられたアクセリのいることだが、まあ、アクセリの事は適当にかわしつつ、会長である王子様と親しくなるようにすれば良いのだと私は楽観していた。


何しろ私はヒロインなのだから。




私は時間前に生徒会室に一番に乗り込んで、嬉々として王子様がやって来るのを待っていたのだ。


でも、待てど暮らせど王子様はやってこないんだけど……。


5分前になり大半の生徒が揃った時だ。


ガラリと扉が開いて一番会いたくないアクセリガ入ってきた。


私は目をそらそうとしたが、ものの見事に彼は私を見つけたのだ。


「ライラ君。ちょうど良かった」

嬉々としてアクセリが私に声をかけてきたんだけど。


「ちょっと今日は人手が足りなくて、こちら側を手伝ってくれないかな」

アクセリが言うんだけど。


「えっ、アクセリ副会長のお仕事は大変ですし、先日も散々ダメ出しされまくりましたから私なんか出来る訳はないと思います」

私は丁重にお断りしたのだ。


アクセリを手伝うのは嫌だ。これ以上も付き合いたくない。

この前は色々仕事させられた上に散々ダメ出しも食らったのだ。絶対にやりたくなかった。


「いや、そうか。それはとても残念だ」

なんかアクセリは口に物が挟まったような話し方をしてくれるんだけど。


「この前、君にやってもらった調書を殿下に見せたらとても良くできていると喜んでおられたのだ。

そうか、嫌なのか。殿下も悲しがられるかも知れないな」

「やります! やらせてください」

私は良く考えもせずに殿下と言われて思わず手を上げてしまったのだ。


副会長のアクセリの仕事を手伝っていれば王子様と近づきになれるかも知れないと思ってしまったのだ。


私は副会長の横で書記をすることになった。


「肝心の会長はどちらに?」

時間前にアクセリに聞くと。


「今日は殿下は別の急用で来られないんだ」

私の問にアクセリは平然とそう言ってくれた。


ちょっと、ちょっと、そう言う事は早く言ってよね。


それなら絶対に手伝わなかったのに!


私はアクセリにうまく乗せられて大変な役割をさせられることになってしまったのだった。

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いつもお忙しい中、ここまで読んで頂いてありがとうございます。

アクセリに執着され出したライラでした。



私の処女作

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』

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